俺の日々 2020年10月前半

内田百閒、吾妻ひでお、目黒孝二、大森望坪内祐三……
魅力を感じる文章の書き手が綴る「日記」が好きだ。そもそも書き手自身に魅力を感じているから日記を読んでも面白いといえば、それまでであるが、「日記」にはふつうの文章とは違った色合いが出る。というわけで、書いてみる。
webコンテンツの潮流には真っ向から逆をいくような内容である。しかし、そもそも収益化だの、えすいーおーだの、読者のためだの……そうしたことを一切考えず、好き勝手気ままに書くことが、このブログの理想的な姿だ。
またこの一連のエントリは、アルコールのせいで日々消えゆく記憶とともに生きる人間の備忘録という意味もある。

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10/1(木)
退職の挨拶、もろもろの手続きで出社。在職中喧々轟々してきた人とも二言、三言交わし……和やかに、そして張り付けた笑顔で会社を後にする。夜、部署内でささやかな送別会。痛飲。

 

10/2(金)
年間TOP10クラスの二日酔いに苦しめられながらも、友人Sを誘って神宮球場へ。下位に沈んだおかげで、順位を気にせず緩やかに観戦できて愉快。スワローズファンのSと両チームの期待選手を勧め合いながら、生ビール(750円……)にでこぽんサワー。試合はどんぐりの背比べ的シーソーゲームを制してカープの勝利。結果云々はさておき、大盛の躍動が見られたことに大満足。穏やかに野球を見られることの素晴らしさよ。

 

10/3(土)
体調不良で予定を一件キャンセル。午前のうちから這うようにWINS新宿へと向かい馬券を仕込んだのち、これまた這うように神保町。@ワンダーでめぼしい本をピックアップ。休日だというのに神保町はまだ人通りが戻りきっていない印象。新型コロナウイルス感染時のリスクが高いとされる高齢者が集う町ほど、経済的ダメージが大きい。そんな当たり前の事態を目の当たりにする。

 

10/4(日)
中野タコシェでリトルプレス○『SUMI』を購入。読む。一読して面白い……とは思えないものの、刺青文化を愛好する者として、このテーマで自腹を切って発刊する心意気を買いたいし、継続されることに意義があるように思う。買い支えていきたい。いく。
スプリンターズSはグランアレグリアとダノンスマッシュの馬連が的中。いい気分のまま ○『パチンコ』下巻を読み終える。後半は尻切れトンボながらミクロの視点でマクロを描いた良作。凱旋門賞はエネイブルが惨敗。馬券も賭けておらず、特に書くことなし。
夜『情熱大陸』。今日の特集、かつて通い詰めた中華料理屋「兆徳」のマスターだったのだ。いつも通りの姿に顔が綻ぶ。一見ぶっきらぼうだが健気で可愛げのある配膳の姉ちゃんが出てこなかったこと(声は聞こえた)を除いて大満足の出来。

 

10/5(月)
引っ越して以来先延ばしにし続けていた(決めかねていた)寝室兼仕事場の照明が届く。が、天井のどこに梁があるのかわからずうまく設置できない……仕方なくホームセンターまで出向き、下地センサーなる商品を購入。天井の壁紙(へんな日本語……)に押し当ててズラすだけで、梁の位置を知らせてくれるビックリアイテムのおかげでなんとか取り付け完了。落ちてこないことを祈る。
ささま書店の跡地にできた「古書ワルツ」に出向き、めぼしい本をピックアップ。『パチンコ』を読んで以来気になっていた在日問題関連の本が中心。夜、○『日本の名随筆 賭事』を読む。かねて「文士と呼ばれる人がパチンコについて書いた文章って少ないよな」と思っていたけど、そうか、吉行淳之介がいた。パチンコに関する小品が絶品。

 

10/6(火)
冬に向けてベランダの植物を取り込めるようにしておこうと、寝室兼仕事部屋を模様替え1×4材を立ててパンチングボードを設置して間に合わせの壁がをつくる。
夜は初台「まことや」。レモン氷サワー×4にハツ2本、マカポテサラダ、もずく。『現代日本を読む ノンフィクションの名作・問題作』を読みながら痛飲。アルコールで目が滑ってなかなか読み進められず。

 

10/7(水)
先延ばしにしていた手続きのために役所。役所という場所は公共の場でありながら、やれこの書類が足りていないだの、やれ住民税だの、やれてめえは何者なんだ……真っ当に生きてこなかった人間にとって、ひどく排斥されているような気分になる場所。しかしそれは当然。仕方ない。とかく肩身狭く過ごすこととなる。つまり競馬場とは真逆の意味合いを持つ。あれほど誰も彼もを許容する優しく開かれた場はあるまい。ああ馬券が買いたい。
そのまま移動して次に世話になる会社に指定された銀行口座を開設(えらく時間がかる)。仕事用に○『保守とネトウヨ近現代史』、△『夢中力』、○『丁寧に教える新型コロナウイルス』を読む。

 

10/8(木)
セールでDLしていた『龍が如く6』を朝から晩までプレイ。夜、前職の同僚と新宿「池林房」へ。いつものように魚の皮をつまみに酎ハイ。そのまま自宅へクルージングし、飲酒・喫煙を楽しむ。久々の喫煙。よくない方にハマる。音楽を大きな音で聞く。

 

10/9(金)
朝から脳がぼやつき何も手がつけられず、仕方なく『龍が如く6』をプレイ。エンディング間際まで進める。ここ2日間でゲームに費やした時間は20時間強。ゲームもひとつの「メディア」として嗜んでいる自負がありながらも、ここまでのめり込むと「時間を無駄にしている」という思いも芽生えてしまう。後ろ暗い思いを抱いてしまうのはなぜなのか。幼少期にゲームを禁じられていたことが原因に違いない。

 

10/10(土)
台風が来るとのことだったがうまく逸れたようで一安心。補足すると「一安心」とはベランダの植物を室内に取り込む必要がなく一安心の意。
朝、新宿西口のブックオフでゲームソフトをいくつか売却し、それを原資に『ウォッチドッグス』を購入。DLが隆盛ではあるもののソフトにこだわっているのは売却ができるというところが大きい。何なら自分が行っている唯一の資産運用といっても過言ではない。情けないことこの上ない。ウォッチドッグスシリーズは2を2周プレイした程度のファンで、1作目のプレイは初。10月末に発売予定の『ウォッチドッグスレギオン』に備えたい気持ちだ。
昼飯、新宿小滝橋ラーメン二郎。評判の悪かった店だけど充分。美味。
サウジアラビアRCはPOG指名馬のステラヴェローチェが出走するも、この不良馬場に合うとは思えず判断に迷い、結果、カガフラッシュに張るも、結局はステラヴェローチェの勝利。さもありなん。

 

10/11(日)
朝から新宿WINSに向かって馬券を仕込む。すべてハズレ。先週の勝ちを溶かす。反省して終日仕事。夜には○『現代日本を読む ノンフィクションの名作・問題作』を読み終える。一種のフィクション論として面白い一冊。中公新書はアカデミズムとの距離感が絶妙で好みなものな多い。

 

10/12(月)
母校(とすら思えない程度の期間で退学したので愛校心も全くない)早稲田大学に行き『Inside/Out─映像文化とLGBTQ+』を観る。一種の“ブーム”となっている昨今のレインボーカラーに関する由無しについて一歩引いた位置から考え直せるいい展示だったように思う。

 

10/13(火)
仕事で◎『ロッキード疑惑』を読む。政治に関心がなくても一つのサスペンスとしてよくできたノンフィクション。公的文書を紐解きまくって、ともすれば専門性が高くなりかねないもののリーダビリティが高い。ボリューミーながら一気見。
昼飯にラーメン二郎小滝橋店。美味満腹。
夜は○『在日韓国・朝鮮人ー若い世代のアイデンティティ』を読む。『パチンコ』を読んで以来自分たちが暮らす社会に無意識的にのさばっている差別に目を向けて考える必要があるように思った次第。差別意識を持つ人がなぜそんな思考を持つのか、当事者はどんな差別を経験してきているのか。

 

10/14(水)
上野アメ横センタービルで調味料・食材をもろもろ調達、その後、予定にはなかったものの、ついカドクラへ流れる。かつてはキャッシュオンだったはずが、コロナの影響で注文・会計方式が大変更。新たに設けられたレジまで向かって注文をして、その場でセルフ会計を済ませ、引換券をもらって、つまみを運んできてもらうスタイル。風情もなければ単純に不便で困惑する。理由は金銭の受け渡しをミニマムにする感染症対策とのこと。これがニューノーマルか。ニューノーマルか。

 

10/15(木)
転職。企画会議を見学。