俺の日々 2020年8月後半

内田百閒、吾妻ひでお、目黒孝二、大森望坪内祐三……
魅力を感じる文章の書き手が綴る「日記」が好きだ。そもそも書き手自身に魅力を感じているから日記を読んでも面白いといえば、それまでであるが、「日記」にはふつうの文章とは違った色合いが出る。というわけで、書いてみる。
webコンテンツの潮流には真っ向から逆をいくような内容である。しかし、そもそも収益化だの、えすいーおーだの、読者のためだの……そうしたことを一切考えず、好き勝手気ままに書くことが、このブログの理想的な姿だ。
またこの一連のエントリは、アルコールのせいで日々消えゆく記憶とともに生きる人間の備忘録という意味もある。

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8/16(日)
午前中に仕事を片付ける。ここ数年、溜め込んだ仕事を大型連休になんとかする悪循環に陥っているが、もう自分の性格としか言いようがない。迷惑をかけて申し訳ないという気持ちと、いっても締め切りには間に合わせているんだからいいだろうと威張る気持ちが相克する。なんとも無価値な相克である。
内が有利な馬場、それでもって内枠を引いた逃げ馬。馬の力そのものは飛車角落ちとは理解しつつも、ミスディレクションの応援に熱が入る。現役馬(で多分)唯一のミスキャスト産駒。かつてのビートブラックに思いを馳せながら観戦するも、三分三厘に差し掛かる手前で急失速。
夕方、昨日見逃した◎『アルプススタンドのはしの方』を見るために外出。なかなかどうしてこういう青春映画なるものに嫌悪感があるものの、これはよかった。詳しい感想はこちら。
昼、夜ともに料理をして、映画、読書ときたもんで。カープが勝っていればいうことはなかったのだが、辛うじての引き分け。最下位転落。

 

8/17(月)
仕事。超集中。アルフレッド・ジャリの超男性ばりの集中ぶりだった。なので、超集中。
夕方、明後日に予約していた寿司屋から「お盆休み伸ばすから予約一旦取り消しで頼むわ」との電話。とんだ殿様商売〜〜〜!!! とはいえ、こちらは小市民。(俺にとっての)超高級寿司屋のいうことを甘んじることすらなく聞き入れ、別日に予約を入れ直す。夜飯はリクエストを受けて近所の焼きとん「まことや」に。ひっさびさに外に飲みに行ったら高エエエエ。貧乏な小市民に外食のハードルは高い。仕事の資料で『YouTube放送作家』(扶桑社)、『仮面』(扶桑社)を斜め読み。

 

8/18(火)
仕事。はかどらず。休憩の間にブックファースト新宿店まで行き、◎『SF映画タイポグラフィとデザイン』(フィルムアート)を買う。これは名著。資料的価値が高い。

 

8/19(水)
誕生日祝いに寿司を食べる予定だったが、一昨日に記したように予定は延期。これといって特別なことはなし。いや、一応近所の洋菓子店でケーキを買った。ケーキなんて買うのは何年ぶりか。十分特別なことだ。

 

8/20(木)
仕事。トラブル。特に気にすることなく最低限の原稿を書き、最低限の進行。夜には○『ピクセル』を観る。映画自体の出来はさておき奇形な人間が出てきて大変具合がいい。奇形が出てくるだけで、もうそれはいい映画だ。痛飲。

 

8/21(金)
仕事。ただひたすら原稿を直す。夕飯後『ドキュメンタル』。なんだかんだ笑いのあれこれは松本人志、ないし、ダウンタウンに教えられてきたように思う。いまの20代後半〜40代前半の人のほとんどはそうなんじゃなかろうか。もうちょっと上がとんねるずなり、ドリフターズ。もうちょっと下は……なんだ、はねるのトびらとかだろうか。

 

8/22(土)
代々木公園まで散歩。そこから原宿に抜けて竹下通りを散策。竹下通りのあまりの閑散ぶりに驚く。この街を支えていたのは地方のティーンエイジファッションマニアだったんだな……と、感慨深くなる。見方によっては十数年前の自分も、この街らしさをかたちづくる一人だったかもしれない。夜アバズレ風のエリート看護師、そして連続殺人鬼が主人公の『マッドナース』。主演のパス・デ・ラ・ウエルタの妖艶さを楽しむだけで満足できる。

 

8/23(日)
終日家。『ドキュメンタル』の過去回を見ては、『幻覚剤は役に立つのか』を読むのみ。競馬予想は的外れ。夜、本を読んでいるとアリに噛まれる。チクチクとした痛みが収まらず。

 

8/24(月)
朝から面接のため築地へ。それらしい服を着て、髪を整え、髭を剃った。世間の男性の多くは日々このルーティンをこなしているのかと思うと、その社会性(?)の高さに慄く。いや、自分自身の生活力の低さにゾッとする。

 

8/25(火)
食事会で連れてきてもらって以来まんまと虜になっている「鮨 かじわら」で夜飯。寿司じゃなくて鮨。そんな漢字が似合う。1人1万円。貧乏な小市民にはとんだぜいたく。ぜいたく野郎ですよ。

 

8/26(水)
昨日ぜいたくしたぶん仕事に精を出そうと意気込み、7時からモニター前。結果、15時ごろにはガス欠を起こす。一段落つけて劉慈欣の○『2018年4月1日、晴れ』読了。訳が魅力を削いでいる気がしないでもないが、相変わらずの爆発的な想像力。SF好きの枠を越えて広く読まれるのも納得。その後は飯を食べて『ジュマンジ』。いやはや素晴らしい映画じゃないか。こんなに素晴らしかったか……まったく初見時の記憶がない。歳を取れば取るほどこういう経験が増えるんだろうと思う。本当によかった。ジョー・ジョンストン、数十年後にはハリー・ハウゼンのように評価されるんじゃないか、これは。いや、この映画の魅力はそれだけではないけども。いやはや。SFとしてよくできている。

 

8/27(木)
仕事。まったく集中できず。筆は進まず淡々と時間が過ぎるのみ。夜はB社の人と食事。行く前は仕事を切られるのではないかと思ったが、まったくそんなことはないようで胸を撫で下ろして、中華料理爆食い。『サラリーマン球団社長』をいただく。もともと買おうと思っていた本をもらえるのは大変嬉しい。行き帰りで柴田勝家を読了。


8/28(金)
金曜日に集中して仕事に取りくめた記憶がない。月曜・火曜で週のタスクに張り切って仕事を進めては金曜日でギリギリ進行に落ち着く。毎週、毎月、毎年、スタートダッシュだけでどうにかやっている。逃げ馬に惹かれるのは、そんな自分を重ね合わせているところもあるのかもしれない。なんていうと綺麗言がすぎるか。
くまざわ書店初台店で『映画秘宝』『ユリイカ』を買い、読む。夜、オンライン飲み会。記憶がない。

 

8/29(土)
内臓が痛くなるタイプの二日酔いで体調悪し。

 

8/30(日)
日用品の買い出し。ついでに購入した『龍が如く7』をひたすらプレイ。

 

8/31(月)
同居人の友人が家に来る。張り切って料理を振る舞い、つい飲みすぎる。