俺の日々 2020年8月前半

内田百閒、吾妻ひでお、目黒孝二、大森望坪内祐三……
魅力を感じる文章の書き手が綴る「日記」が好きだ。そもそも書き手自身に魅力を感じているから日記を読んでも面白いといえば、それまでであるが、「日記」にはふつうの文章とは違った色合いが出る。というわけで、書いてみる。
webコンテンツの潮流には真っ向から逆をいくような内容である。しかし、そもそも収益化だの、えすいーおーだの、読者のためだの……そうしたことを一切考えず、好き勝手気ままに書くことが、このブログの理想的な姿だ。
またこの一連のエントリは、アルコールのせいで日々消えゆく記憶とともに生きる人間の備忘録という意味もある。

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8/7(金)
起床。最低限の仕事を終えた時点で、それ以上やる気にならず、読書。GoTに熱中するあまり読みかけにしてしまっていた◎『三体 黒暗森林』(早川書房)を読みきる。ラストの展開がいい。乱暴な物言いをすると、劉慈欣は理系で偏差値が高いマイケル・ベイとでも例えられるように思えてきた。その後もやる気が出ることはなく、○目黒孝二『笹塚日記』(本の雑誌社)を読む。競馬との距離感の取り方は見習うべき点が多い。夜、オンライン飲み会。カープは若手選手が躍動する素晴らしい試合。未来に希望が持てる。

 

8/8(土)
10時30分起床。
初台のセブンイレブンで○『dancyu』を買う。一特は「夏のおつまみ」。夏の冷菜つまみをさらっとつくれるようになりたい私に最適な特集。
新宿まで出て買い物をしようと思うも、求めるものが見つからず、合羽橋まで。アルミパンと中華鍋を買う。帰宅後、気合を入れた料理。ストレスが発散される。
B社のIさんからメールあり。食事の誘い。ありがたい。

 

8/9(日)
6時起床。△『「バカ」の研究』(亜紀書房)を読了。散歩ついでに笹塚。日用品を買うついでにウェンディーズ。なにかしらのキャンペーンでなにかしらのハンバーガーセットが安くなっていたので、それを頼む。
エルムステークスは「こりゃあ上位人気勢がいかにもうさんくさい」と考えて、アルクトスを本命に推すも惨敗。
夕方、新宿紀伊国屋書店を見回り。『宇宙・肉体・悪魔』(みすず書房)を購入し、シネマート新宿で○『カラーアウトオブスペース』。ようやく観られた。ラブクラフトの映像化としては最も成功しているといって差し支えない出来。とはいえ、けったいな仕上がりであることは否定しがたい。オチの外連味はわかりやすいものの、広くわかりやすいかと言われると首を傾げざるをえない。そんなところ。詳しい感想はこちら。
夜飯は中華。買ったばかりの中華鍋を振り回して涼拌茄子と青椒肉絲、トマトと卵の炒め物をつくる。美味、満足。つい飲みすぎる。

 

8/10(月)
8時起床。宝缶酎ハイ×2飲みながら散歩。帰宅後、シャワーを浴び、仮眠起きたら17時。仕事をするつもりが、3時間も寝てしまった。王将を食べてダラダラ仕事。終わらず。

 

8/11(火)
仕事、オンライン面接。夜、酒飲みながら○『セーラー服と機関銃』を見る。相米慎二は画面構成のキレもさることながら、最も秀でていたのは、もしかすると女性を撮るうまさなんじゃないか(いまの時代には全く合わない製作現場だったことはさておき)。えてして、女性を撮るのがうまい映画監督は傑出した作品をつくりがち。ほら、例えばカラックスとか。

 

8/12(水)
終日仕事。のはずが、昼飯にうどんを食べてそこから『宇宙・肉体・悪魔』(みすず書房)を読みふける。仕事はまったく目処が立たぬまめ夜。今日も中華鍋を振る。酒を飲みながら『本の雑誌 9月号』。一通り読んだ後、Amazonプライムで○『グリーンインフェルノ』。この映画はたしか浅草までプレミア上映を見に行った記憶が……いま見返しても悪趣味全開ですばらしい。明日から四連休だが、仕事以外に主だった予定はなし。

 

8/13(木)
久々の外出。麻布十番のスーパーデリカテッセンで4連休分の食材を購入し、天気が気持ちよかったことを建前に、缶チューハイ4本を消費する。昼から酩酊のまま惰眠を貪って、気づいたら夕方。食事の支度を済ませ、DVDで◎『地球へ2千万マイル』を見る。ハリーハウゼンのつくる特撮のすばらしいことよ! 河出書房新社から出ていた画集の復刊が待たれる(契約の兼ね合いで難しいことはわかる)。 

 

8/14(金)
牛ホホ肉を煮込むも思うような仕上がりにならず。弱火にかけている間、本を読んでしまったことが大きな原因。料理を犠牲にしながら○『宇宙・肉体・悪魔』(みすず書房)を読了。どえらく頭のいい賢人の思考実験というところか。未来に希望が持てる時代だからこそ生まれ得た一冊のように思う。所々ついていけず。
夕方、栗東トレセンで火災のニュース。4頭取り残されているという情報を見かけたが……

 

8/15(土)
栗東トレセンの火災は3時間ほど鎮火に時間がかかり、結果的に4頭の馬が亡くなってしまったそう。未勝利馬の屠殺は看過して、こんなときに途端に感傷的になるのは曲がったセンチメンタルかもしれないけど、道が閉ざされてしまうってのは、なんであれ無念だろう。こんなときまで天邪鬼にはなりたくない。
朝、松屋まで行き、定食(牛皿をとき卵に浸しながら、すき焼きのようにして食べるのが好きなのだ)。その後、高校野球と競馬を行き来しながら仕事。思いの外はやくめどがついたので夕方からの映画チケットを抑えて『アルプススタンドのはしの方』をシネマカリテで観る……つもりが、映画開始3分前に昼寝から目覚める失態。情けないことこの上ない。