名前は知っているけど食べたことない料理:ビリヤニ

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好きなものがはっきりしているせいか、映画や音楽や文学その他もろもろ……新しい何かに挑戦するよりも、“これにしておけば間違いない”というものをついつい選びがち。しかし、そうしていてばかりではまだ知り得ぬ更なる「好き」に出会えない。まずは食事という面から保守的な自分に抗っていこうと思い立ち、「名前は知っている。なんとなく見た目もわかる。だけど食べたことはない。」そんな料理を積極的に食べてみようという試みをはじめてみました。(いつまで続くのかはわかりませんが)第一弾として食べてみたのが「ビリヤニ」です。


1月9日(水)14時、多くの文人が居を構え、学問の町と称される本郷へやってきました。お店は東大赤門の斜向かい。前々から「スパイス薫る極上の一品」というキャッチコピーの貼り紙でビリヤニを大プッシュする店があることを認識していて、前を通るたびに、ビリヤニとはなんぞや……ビリヤニとはなんぞや……ビリ……ヤニ……と、その不思議な語感のまだ見ぬ謎の料理に想いを馳せていたんですよ。だってビリヤニですよビリヤニ!なんじゃそれ!こりゃ機会つくって食べてみにゃいけませんわ(何かしらの機会を作らないと新しいものに挑戦しなくなる保守的思考が脳を蝕んでいるのでこういうブログなどのきっかけづくりがとても大事なのです)!

というわけで、初入店。注文は決まっている。遅い昼ご飯を片付けるサラリーマン横目に入店早々伝える言葉はひとつ。「ビリヤニください。」だ。

するとつい先ほどまでiPadソリティアを楽しんでいたおじちゃん店員がフランクに「何ビリヤニ?」と言う。

ははーん、ビリヤニには種類があるのね、おっけーおっけー。それくらいで面食らう年じゃないですよ、私は。どんな味があるんですかね、と思いつつ「あっ!普通のでいいっすよ普通ので!」と返すと、「チキン、マトン、あとラム、どれ?」とのこと。

ははーん、味が違うわけじゃないんですね。そもそも私はビリヤニがどんなものなのかをさっぱり知りませんからね、チキン、マトン、ラムっていうと、カレーみたいなもんですか。それならまあ一番当たり障りのなさそうなやつを、というわけでチキンを選択。


キッチンに立つヒジャブを巻いた女性とおじちゃん店員が、留学生アルバイトの子を住まわせる寮をどこにするのか。大所帯の部屋にすると近隣からクレームがくるから1Kの集合住宅ワンフロアをぶち抜きで借りるのがいいんじゃないのか。南千住はURも公営住宅もたくさんあるよね。15万円までなら出せるからね。などとやけに生々しい話を聞きながらビリヤニを待つ。

もうこの時点で私はある種の信頼を抱いていた。この、客に対してのある種適当な接客は良い傾向、中華料理屋とインド料理屋は接客が適当であれば適当であるほど美味くて安い店だと相場が決まっているのだ。

 

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10分弱ほど待って出てきた。これがビリヤニ。なるほど。

一通り眺めた後、(横に添えられた白い液体は一旦無視し)器からこぼれないように、それでいてなるべくたっぷりとスプーンに盛ってビリヤニを口に運ぶ。そば飯の炊き込みご飯といったような見た目のビリヤニは、カレーのまろやかさをはぎ取ってスパイシーな香りを先鋭化させたような味がする。そのままスプーンに盛っては口に運ぶ、スプーンに盛っては口に運ぶを無心で繰り返す。これは美味い! おそらくふんだんに盛り込まれたスパイス(実が丸ごと入っている!)のおかげで、すくう箇所ごとに違う風味が顔をのぞかせるんですね。これは美味い!飽きない! ハフハフしながら口の中をいっぱいにして、スパイスの複雑な香りを鼻に抜いて楽しんでいると、ジュワっと汗がしみてくる。ホクっとした口あたりのカシューナッツが時々入ってくるが、これがまたいいアクセントになっている。

一体なんだ、と思っていた横にある白い液体は、サクサクとした食感の何かが入った酸味強めのヨーグルト。ビリヤニを口に運ぶ合間に食べるとスパイスの鋭さが和らぐ、そんな箸休め的な役割を担っているようだ。これはビリヤニ のいい相棒!なんとも完成されている!

ビリヤニ 。それは、口いっぱいに米を頬張って、複雑な香りを鼻で味わい、体からはじんわりと汗が滲み出る。そうした身体的な快楽のデカい美味料理でした。


最近はいろんな方法でインスタントに情報が手に入るので、どんな味なのか大方の想像はつくけれど、実際に食べてみないことには何とも言えないし、実食しているかしていないかで天と地ほどの差があると思いますし、新体験を大切にしていきたいと思う2019年ですので、定期的に「名前は知っているけど食べたことない料理」を食べてみようと思う次第であります。

 


ビリヤニ、ビリヤーニー(Biryani,birianiもしくはberiani)は、パキスタン料理の一種。スパイスと米(通常バスマティ米)、肉、魚、卵や野菜などから作る米料理である。同じ米料理であるプラオとビリヤニとの違いは、プラオは生の米から炊き込むのに対して、ビリヤニは米とカレー(肉か野菜のカレー)を別々に作る点にある。特にビリヤニの製法において米とカレーを層状に重ねることは、カレーと米が融合した香り高い一品を生み出すために非常に重要である。

(以上Wikipediaより引用)

 

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