人知れず表舞台から(2走ボケ)

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 競馬に負けて歩いていると、道行く人が輝いて見える。スタバでお茶をしている人、デートしている人、犬を散歩させている人、みんなたぶんモレイラなんて知らない。だから幸せに生きていられるんだ。と引用はこの辺りにして、モレイラが滞在最終日を[5・1・0・0]の驚異的な成績で終えて(穴党にとっては散々な事態)、やさぐれた気分になってた自分と友人Rは、新宿の焼き鳥屋『番番』に立ち寄って、厚揚げ、串焼き、あとはモレイラへの賛辞と愚痴をつまみにゲンキサワーをしこたま飲んだ。

 この時にも書いたけど、新宿の飲み屋といったら『番番』が一番間違いない店。安いし旨いし、携帯の電波が一切入らないというのも仕事を忘れられて良い。そして『番番』という名前もとてもいい。考えてみると『番番』もそうだけど、『たぬきや』だとか、『宇ち多゛』だとか、いい飲み屋は大抵いい名前ですよね。名は体を表すということわざを考えた人すごい。

 話を競馬に移し変えると、日本史上最高のレイティングを与えられた最強馬“エルコンドルパサー”も魅力的な名前だし、苦節を耐え忍んで秋天を制覇した、かつての最強世代のダービー馬“エイシンフラッシュ”もG1馬らしい名前。強い馬は往々にして名前もかっこいいもんですよね。

 そんなの実績が名前を輝かせているだけでしょ、とツッコマれそうだけど、先に書いた2頭は“同一オーナーによる同馬名使用”。つまり若駒の頃から「かつて叶わなかったあの馬の悲願を達成するために……」と陣営が大きな期待を抱いていたということ、と思うわけです。

 

 弥生賞をレコードで制覇したマカヒキ凱旋門賞に挑戦したり、最近のレースでも古馬を圧倒したり、名実ともに最強世代と呼ばれておかしくない'15ダービー世代の馬にもそんな馬がいた。サトノダイヤモンドのデビューが“5億円対決”として騒がれていたあの日、真裏の東京開催で単勝オッズ23.1倍の7番人気、鞍上に藤岡康太を配し、抜群のスタートから最後の直線で33.5秒の上がりで後続を突き放した馬、その馬の名前はキラージョー。競馬に情けもクソもないけど、新馬戦で単勝1000円分の馬券をつかませてもらってから、東スポ杯2歳Sでも本命視したキラージョーが、同じオーナー(河内孝夫)、同じ生産者(中地康弘)による同馬名使用のキラージョーなんですよ。新馬戦の勝利が鮮やかすぎたあまり、東スポ杯2歳Sでは“一気のメンバー強化で、乗り越えるべきハードルはかなり高い”と評されながらも、結果は惜しい4着。才能の片鱗を見せつけていたこの馬が、陣営からも大きな期待を寄せられていたこの馬が、10ヶ月もの間音沙汰無しで何をやっているのかわからない状況。河合奈保子じゃないんだから、隠居は早いぞ、キラージョー

 その姿をまたターフで見れることを願ってます。