2017-01-01から1年間の記事一覧

血統と金力(天皇賞 春)

「血統と金力。そういうもので政治をやると思っているわけでしょうが、それは甚だ間違っている」(要旨)こうして近代政治を批判したのは稀代の知識人、丸谷才一だった。他にも「かつては、寝ないことがフェミニズムであった。そして今は、寝ることがフェミニ…

勘違い(マイラーズC予想)

文章は1日書かないだけで勘を取り戻すために少なくとも1日はかかる。どこかの作家がなにかのインタビューで答えていた。 「そんな!トップアスリートじゃないんだから」と笑う方もあるかもしれないが、いやはや実際のところ本当にそうで。文筆が生業ではない…

言霊を説いた教師(皐月賞予想)

言葉には言霊が宿るんよ。自分の言葉は言霊になって戻ってくるけん、あんまりそういうこと言うちゃいけんよ。もっといい言霊を吐きんさい。小学2年生の頃、同級生をからかっていると、担任の花本先生にそう咎められた。体調が悪くて頭が痛いと言うと、両手を…

花の楽しみ方(桜花賞予想)

「うちが日本に帰る頃には散っとるじゃろうけん桜の写真送って」ヨーロッパで音楽修行中の幼なじみからこんな連絡が届いた。ドイツにも桜は咲いてるはずだけどな…と思って調べてみると、植樹こそされているものの咲く時期は4月下旬のようで、ちょうど彼女が…

道徳教育(大阪杯予想)

ある日、お母さんからお菓子代として200円のお小遣いをもらった中田くんは近所にある和菓子屋に行きました。すると、店の前で「お腹が空いたよ〜」と小さな声で涙ぐむ女の子がいました。ただし、食べたかったいちご大福の値段は110円。ふたつ買って、ひとつ…

チャックベリーの訃報(高松宮記念予想)

10代の頃によく聴いていた音楽ってのは年齢を重ねて聞いても耳に快く響く。きっとそうした経験は誰にでもあって、自分の場合は、ラジオから録音した気になるバンドの音源を聞いていた時に、おじさんから「お前ブルーハーツとかも好きなんじゃないんか」と紹…

ある日の風俗店の話(フラワーC予想)

「イラシャイマセー、ツギノオキャクサマー」おっとこれは聞いてない。珍しく競馬で大勝したその日、いつもなら猫背をさらに丸くした情けない姿で歩くオケラ街道を、今日は胸をはって、晴れやかな気持ちで歩いてきたというのに……50分12,000円、いつもより高…

赦して信じる(金鯱賞予想)

「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」律法学者の彼らがそう言ったのは、イエスを試し、訴える口実を得るためだった。しかし、イエスは身をかがめて、指で…

司会者のミス(弥生賞予想)

第89回アカデミー賞が発表された。『アーティスト』が作品賞を受賞して以降、賞のセレクトが若干渋めに寄って、日本で公開されても売れない作品が多いなか、そのポップなルックから業界に携わる方々が動向を大変気にしていた目玉の作品が『ラ・ラ・ランド』…

退路を断つこと(中山記念予想)

締め切りにならないとやる気が起こらないという人がいる。 自分自身がまさしくそういうタイプの人間で 、ついぞ追い込まれた状態になって、後悔するといったことは海を泳ぐ鰯のごとく多数。うるさく催促されて、もう逃げ場がない。そうなって、ようやく力が…

『最後の予想屋 吉冨隆安』(著:斎藤一九馬 / 発行元:ビジネス社)

かつて『平凡パンチ』という雑誌があった。三島由紀夫や野坂昭如が筆を執り、立木義浩に荒木経惟、加納典明らがグラビア写真を撮影。根本敬や黒鉄ヒロシ、岡崎京子といった名うての漫画家が連載を持ち、イラストは横尾忠則といった御大や、当時は新進気鋭、…

新聞の見出しを考える(フェブラリーステークス予想)

自分の携わった本がなかなか売れない。出版不況が叫ばれて早数年。仕方ないことなのかもしれない。とはいえ、新たに企画をひねり出す必要はあるわけで。多くの編集者は企画づくりに日々苦心する。そんな時代にもかかわらず有象無象の出版社は毎年毎年信じら…

流石にふざけすぎ……(京都記念予想)

話題のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。「ガッキー可愛いな」「石田ゆり子さんもいいぞ」…などと、まったく世間と同じ反応で見たのだが、ドラマのあちこちに効果的に使われるアコーディオンのBGMやSE(効果音)を聞いて、ぼくは、「ん?」 と思った…

身の丈を考える(東京新聞杯予想)

一時期に比べると随分マシになったものの、いまだにエンゲル係数が高い。決して美食家というわけではなく、ただただ酒量が多いだけだが、これがなんとも由々しき問題で毎月末には、酒代・馬券代を捻出するためにそろばんを弾く事態になる。そんなことが多々…

知ってるつもりか!(根岸S予想)

杉の宮駅が京王線の駅だとは知らなかった。「そんな駅、京王線にないですけど?」なんてツッコまれるかもしれませんが、最初に書こうと思っているのは、スタジオジブリ製作の映画『耳をすませば』の話。(まあ、いつものごとく、この後、二転三転しながら競馬…

しみったれた夜(AJCC予想)

Y口A香(29歳)中学高校大学。それくらいの年頃でぼんやり考えていた将来のかたち。仕事とか生活とか、あてもないのに何故か幸せな未来を想像できていた。「23歳くらいで友達に紹介してもらった男と付き合い始めて、2,3年付き合って結婚して。その次の年には子…

大学入試センター(日経新春杯予想)

個人的な一面ニュース。数日前、空き巣に入られて、60万円弱の被害を受けました。正直憔悴しきり。その一方、世間にとっての一面ニュースは今週末に実施されるセンター試験といったところか。中山競馬場へと向かう東西線にも、受験生と思われる若者が多く居…

挫折から救われる(シンザン記念)

挫折を一度も味わったことのない人間なんて、そりゃまあ少ない。そんなことは、オリコンランキングを“頑張れ!負けるな!諦めるな!”ソングがいかに大きな割合で占めているか想像してみると想像がつく。志望校に落ちて浪人生活が決まった時にKANの『負けない…

詰まりに気をつけろ(中山金杯予想)

新幹線のホームにて小さな男の子に対して。「お正月は何してた?」「おじいちゃんの家に行って凧揚げしました!」「楽しかった?」「楽しかった!」 駅前のロータリーにてスーツを着た女性に対して。「年末年始はどのように過ごされました?」「寝正月でした…

謹賀新年

2017年になって早々、地元の神社でおみくじを引くと、でかでかとした『凶』の文字。最も気になる“相場”の項目は「山気を出すな」とのことで。むすっとしながら、おみくじの内容を居酒屋で友人にくっちゃべっていると、隣席のおじさんにとつぜん激励されはじ…