混雑を避けてアルタ前で(日本ダービー)

 

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「伊勢志摩サミットの開催が迫っている。これはアットザシーサイドのサインだ。」 こんな書き込みを何件も見た。1週間も前から「サイン、サイン」とは大げさだなと思っていたが、結果は御存知の通り。道中伸びを欠いてしまい、11着に敗退した。

 

 開催前段階から大げさだなと思うのは、伊勢志摩サミットの警備それ自体にも感じる。各国のお偉いさんが来るわけだし、イギリスではテロもあったから、都内でも警戒しなければいけないということですね、とは思うものの、伊勢志摩サミットの警備は大げさ。厳しいというより、大げさだ。巣鴨駅でも警官が睨みをきかせていたが、普段と比べてとんでもない人数を動員して、一体何を注視していたのか。警戒してくれていると聞くと心強いが、実際は間抜けな印象。地蔵通りへと向かうおばあさま方の話し相手になっていたり、道案内をするためにあちこちを指で指していたり。いつもより道が混雑して歩きづらかった。

 

 そんなこんなで、今年もダービーウィークに突入。競馬好きにとっては、世間でいうところのクリスマスから正月に向けての1週間と同じくらいそわそわする期間。新馬戦から追ってきた馬、POGで指名した馬、トライアルで見せた強烈な末脚に惚れ込んだ馬……それぞれの馬がダービー馬という名誉を目指し、ターフに介する。毎年7000頭弱のサラブレッドが生産されて、デビューできない馬が約4割。1勝をあげる馬ですら、全体の1割ほどだというのだから、ダービーに出走できるとはいかに狭い門なのか。倍率にして、およそ388倍。熾烈な競争を勝ち抜いた18頭だけが府中の大歓声を受ける権利を得る。その勇姿を一目見るために、東京競馬場には、きっと12万人を超える人が集まるだろう。指定席を取らなければ、馬券を購入するのも大事だろうし、場合によってはモニターを見ることすら難しいかもしれない。

 

 混雑することがわかりきっている府中には向かわず、当日は新宿アルタを目指す。競馬に興味のある人もない人もたくさんの人が行き交う5月29日15時40分過ぎの新宿。斜め上60度の角度に位置するモニターに映る、6825頭の頂点に輝く馬に挙がる声は歓声かどよめきか。俺は、後者に賭けたい。

 

 前走の青葉賞では、休み明けということもあり、行きたがる気持ちを抑えきれず、道中かかってしまい、直線ヨレヨレになりながらも、リアルスティールの弟であるという面目を保つかのごとく、上がり5位の末脚を見せて4着入線。その走りっぷりは東スポ杯2歳Sスマートオーディンに敗れた時と比べ、大きな変化が窺えた。その変化がいい方向であることを願おう。鞍上が田辺というのも一波乱起こしそうでいい。いらないレコードを売り払って、プロディガルサンの馬券をしこたま買う。

 

 今年のG1を桜花賞以外当てていない身だが、ダービーを勝つことこそがクラシック戦線の肝だろう。春競馬という舞台、アルタ前を行き交う誰もが指を指すほど大げさなカーテンコールで締めくくる所存です。