誤用(オークス予想)

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誤用(ごよう、英語:Misuse)とは、通常言葉について言われ、ある言葉の伝統的・慣用的な意味や用法とは異なる、間違った意味や用法でその言葉が使用されることを指す。
言葉や単語の意味における誤用以外に、ある特定の目的や用途を持つ物品や道具などが、本来の用途以外の目的などで使用される場合にも誤用ということがある。


以上Wikiの内容をコピペ。
間違った意味で言葉が使われるだけではなくて、本来の用途以外の目的で使用される場合も誤用っていうんですよね。
そういう意味でいうと、最近広島で起きた8572万円の盗難事件も原因は誤用かもしれない。広島県警が鍵の管理を誤った。
詐欺事件の証拠品として、署内の金庫に保管していた現金8572万円が盗まれたというのだ。県警は警察署に勤務する約350人の署員が盗んだ内部犯行の可能性が高いとみて捜査を続けているという。

私も年初に空き巣に入られた身なだけに、あまり強く非難することはできないものの、いやはやなんとも情けない話。
証拠金は被害者の救済に充てるために保管していたというのに、事もあろうに警察が紛失。更に被害者救済をどうするかについては、いまだに方針が決まっていないというのだから、よりお粗末。穿った見方をすると、内部犯行で山分けもみ消しが行われているのではないか、とすら考えてしまったりする。


誤用といったらあれもそうだ。
二十歳前後の頃に仲良くしていた友人K。今となっては連絡がつかなくなってしまった彼は注射器を誤用していた。
Kは大阪の大学に通う学生で、別に医者でも看護師でもない。そんな彼がなぜ注射器を誤用することがあるのかというと、ええ、まあ、それは氷というかなんというか、より分かりやすく書くと覚せい剤というかなんというか。
本来、打つ人ごとに変えるべき注射器を彼はポンピングして使用していたのだ。なんたる誤用!
そんなとんでもない誤用を続けた彼は結局C型肝炎にかかってしまい、家族に相談した結果ダルク入りすることに。そして連絡は取れなくなった。
クスリを断つうえで、最も重要なことは、その時の人間関係をきれいさっぱりやめてしまうことだという。
俺は別に覚せい剤とかやってなかったけどな……
風の噂で肝炎も根治したと聞いたけど、今は何をやっているのか。それは風のみぞ知るところ、といったところか。
万が一これを読んでたら連絡待ってます。


なんて、私信を終えたところで、今週も競馬予想の話。
趣味趣向で馬券を買うなんて、収支のことを考えたらもってのほか。競馬予想において、重要な要素のひとつも誤用について考えを巡らせることだ。
誤用は大事。
これまでに距離を誤って使われていないか、馬場を誤って使われていないか、コースを誤って使われていないか、この馬の本当の適性はどこか。
考えた挙句、オークスの本命馬はソウルスターリングに決めた。
Frankel産駒という字面からくるイメージで、重馬場が得意に考えてしまいそうになるが、それは大きな誤り。故に前走の敗戦も納得ですね。
なんといってもソウルスターリングが他馬を圧巻した走りは軽い芝でのアイビーSだったじゃないですか。
繰り返して書くと、前走は決して馬脚を現したわけではなく、馬場が合わなかっただけ。この馬に抱く期待を思えば、馬場を言い訳にすることない勝利を求めていたが、それは仕方なし。内伸び馬場をのびのび走ってきてください。
G1というと敷居が高いかもしれないが、レッドコルディスにも期待したい。
今日の払い戻しを全て馬券に!


ちなみにここまでの文章でも言葉の意味を誤用ひた箇所が5つほど!
間違いを見つけたあなたには豪華商品を!
俺の予想が誤っていたなんてオチは避けたいところですね!

指輪をはめる(ヴィクトリアマイル予想)

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競馬場でついていた日。ほとんど全レースをとるかの勢い。
それでも段々、退屈になってくる。たとえ勝っていたとしても。レースとレースの間には30分の待ち時間があって、その間に生気が吸い取られていってしまう。競馬場では誰もが暗く落ちこんでいるように見え、みんなうろうろ歩き回っている。そして私もそんな連中と一緒にいる。

後年発表されることとなっていた日記にこう書き残したのは、サルトルジャン・ジュネらから偉大な詩人と呼ばれながらも、自身を作家ではなく競馬師と呼んでほしいと言い続け、生涯創作の手を緩めることのなかったチャールズ・ブコウスキー


そんな文豪と比肩する気はさらさらないものの、この気持ちはわかる。
競馬場でついている日なんて滅多にないけど、基本的に1場しか参戦しない私にとって、レース間の30分はそこそこ退屈。退屈しのぎで大して予想もしていない他場に手を出すと、痛い目を見るわけで、なんともバランスの取り方が難しい。


そう。
今日だって友達の結婚式に参列するというのに、ギリギリの時間までWINSで馬券を買い続けた。5Rほど参加して的中したのは2.4倍の複勝1点。
結婚式前に、スピーチの原稿も用意せず、レースに参加してりゃ、こんな仕打ちになるのもしかたがないか。
馬券が外れるだけじゃない。文章にもまとまりがない。淀みない流れもない。
いや、そう書くと、まるでいつもは立派な文章を書いてるみたいじゃないか……
とはいえ、これを書いているのは日本酒を8合、ビールを2杯、食前酒としてウイスキーの水割りを2杯飲んだ翌日。
いつも以上に駄文になりそうなので、ここらで早速本題に。


今週末開催されるはヴィクトリアマイル
本命の印を打つのはクイーンズリング。連日の悪天でタフな馬場。直線で新潟千直のごとく、バラけることは火を見るよりも明らか。
そうなると量の豊富なL系の好条件替わりに期待したい。
苦から楽を重視してクイーンズリングか、ルージュバックの二択でクイーンズリングを選択。
ご祝儀から飛んでいった財布の中の50,000円をクイーンズリングが戻してくれることを期待する。
新郎新婦の指輪交換を見ながらそう決めました。

中京競馬場でただ一度だけ(ローレルベローチェの引退)

これを書いているのは16時45分。
昨日までのどんよりした空模様から一転、夏の到来を思わせるような陽射しが降り注いでいる。にわか雨も降ったが、この更新分を書き終える頃には美しいタ焼けが目の前の神田川を染めているだろう。
もう夜も近い。うまい酒を飲んで穏やかな夜を過ごしたい。


昨日、神宮球場での野球観戦後、何気なくTwitterを眺めていると
“ローレルベローチェ、左前肢のエコー検査を本日受診し、浅屈腱の損傷より競走能力喪失と診断されました”
という報せが目に飛び込んできた。
私にとって競馬における最も重要な要素は馬券であって、決して馬を猫かわいがりして楽しむタイプの競馬ファンではない。
とはいっても、毎週のようにレースを見ていれば、半ば当然のように、人馬のドラマに魅せられたり、走りっぷりに魅せられたり……思い入れが生まれる馬は出てきてしまうもので、その中での代表的な一頭がローレルベローチェだった。最も思いを馳せる一頭がローレルベローチェだった。
それだけに、競走能力喪失という6文字を目にした瞬間、その情報が間違っているのではないかという思いから、すぐにGoogleTwitterで検索をはじめた。
間違いでないことはすぐにわかった。
多くの一口出資オーナーの方のつぶやきが確認できたのだ。
「いいね!じゃねえよ…」と思いながらも、そのツイートひとつひとつに“いいね”をつけていった。


たしかに1年くらい前から、思ったような走りが見られておらず、加齢によって闘争心が薄くなってきたのか…とは感じていた。
それでも、函館での2走は滞在競馬が合わなかっただけで、淀短距離Sでは斤量が苦条件になっただけだと、敗戦の理由を贔屓目に見つけ出しては、次走に向けて期待を抱き続けていた。
そして迎えた前走の鞍馬ステークス。これが引退レースになってしまったわけだが、結果的にまたしても彼らしい走りを見ることはできなかった。
その数日後、目にしたのが競走能力喪失の6文字となったわけだ。


ファンであることを公言していながらも、栗東所属の馬だっただけに、東京在住の私がローレルベローチェを実際に目の当たりにすることは少なかった。
生で見たのは中京競馬場でのただ一度だけ。
高馬でも、良血でも、有能な調教師に恵まれたわけでもないローレルベローチェ高松宮記念に出走する。そんな事実に色めきだって、我が子の勇姿を見届けようとする親かのように、中京競馬場に赴いた。その時だけだった。
レースは大敗してしまったものの、スピード自慢が集う中で外枠からハナを取りきった瞬間には大声をあげた。
「中井!それしかない!」
格好の目標にされることは馬柱を一目見た瞬間からわかっていた。
それでも、これまで人馬ともに培ってきた経験を発揮するかのごとく、敢然とハナを奪いきったのだ。

馬券は外れたものの、レース後はこれまでの経験を貴重な舞台で無駄にしなかった人馬を褒め称えたい気持ちでいっぱいだった。人馬ともにさらなる飛躍が期待できるはずだ。そんなことを思った記憶しか残っていない。
おかげで、その年の勝ち馬が何だったかすら覚えてないくらいだ。ビッグアーサー…でしたっけ……?


それはともかく、私がローレルベローチェをとうとうと語ったりなんかしたところで、関係者の方々の悲しみに比べたらごくしょうもないもので……と妙なパラノイアに陥りかけたが、でも、なんというか、なるべく生々しいままに記憶に留めたいという思いもあるし、書き続けよう。もうここまで書いたことだし。


別に死んでしまったわけではない。だからそこまで悲哀に包まれる必要もない。そんなことは重々承知。
ただ、あの韋駄天走りがもう見られないのかと思うと、ごく平凡な言葉になってしまうが、ただ悲しい。
「もう我が強すぎて、もし人だったら会いたくないですね(苦笑)。でも、また会いたくなるような不思議なヤツなんです。もう自分を持ちすぎていて、ぶっとんでいるというか。逆にそれがカッコいいとすら思えるような馬なんです。…(中略)…先生が「もう好きにしなさい」と言うと、本当に好き勝手に行動してしまうタイプです。」
攻め馬からその背中にまたがり続けた中井騎手がそう語ったインタビューは、喋っている際の笑顔まで浮かんでくるほど愛に溢れていた。
同じインタビューで“人生で影響を与えられた人やもの”という質問に対して、ローレルベローチェの名前を挙げ、“なんでもOK! 今一番叫びたいこと”という質問には「何よりもベローチェと一緒に重賞を勝ちたいです!!!」と力強く答えた。


そんな中井の思いとは裏腹に結局重賞を勝ち取ることができなかったローレルベローチェの馬生。
デビュー前を早朝とするならば、デビューして芝に転向するのが午前中、連勝を重ねてシルクロードSに出走する頃が正午くらいだろうか。そこから競走成績に陰りが見えてきた頃を陽が落ちていくタイミングに置き換えると、屈腱炎を発症したのは、ちょうど今、この文書を書いている時間と同じ、夕方くらいになる。
ローレルベローチェには、これからの馬生がある……とは言い切れないが、あってほしい。
誘導馬でも、牧場でも、馬術でも、なんでもいい。
どうかローレルベローチェの元にも穏やかな夜が訪れますように。
ただ一度ではなく、もう一度、ローレルベローチェの姿をこの目で見たいんですよ。頼む。

 

2017/5/13追記

ローレルベローチェ滋賀県馬事公苑に譲渡されるとのことです。

やったー!!!!!

いい仕事がしたい(NHKマイルカップ予想)

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多くの女性が嫌う言葉のひとつに「いや…」という言葉があるそうだ。
これだけ書いてもなんのこっちゃわかりづらいな。
噛み砕くと、“何を話しかけても否定から入る”ということらしく、そういう喋りをする男性は嫌われがちなので注意が必要。なんだそうだ。なにかの雑誌に書いてあった。
女友達の少ない自分は、たしかに思い当たる節が数え切れないほどある…それで縁遠くなってしまったのでは……と邪推する相手もいる。
特にアルコールが入っていると厄介で、じゃれあいまじりの冗談べらんめえ喋りが本物の喧嘩につながることも星の数ほど……
西日本出身だからか、と考えることもあったが、そうとはかぎらないみたいで本当に反省しきりの毎日です。
そんな女性に嫌われやすい否定的な喋りをしてしまいがちな自分なわけですが、身振り手振りを大きくして、好きなものを人に伝えようとしている様子を、首を縦に振り続けながら聴くのも、またたまらなく好物なんですわ。
数年前まで松本人志が司会を務めた番組があって。芸人が各々の「好き」なものを3,4分ノンストップで喋り続ける、という内容だったんだけど、好きなものについて喋っているその表情を見ているだけで楽しい。そんな記憶もぼんやりとある。
いやまあ、人の好きなものの話を聞くことって結構楽しいですよね。


ということで(?) 好きなものの話から書き始めてみよう。
今回の好きなものは“書店”を取り上げる。
唐突に本題に入るが、自分は仕事の絡みもあって、人の十数倍の頻度で書店に通っているんですね。
今日はあそことあそこ。明日はあそことあそことあそこ、そんな具合に。
それぞれの書店で何を推しているかを確認して、どんな本が売れるのかをリサーチする。
もちろん、やる気に満ち溢れた書店もあれば、そうでない書店もあって、まあ、そのそれぞれを訪れているわけだ。
そんな中で、書店自体のやる気も十分。棚に並んでいる書籍の質も十分。ちょっとひねくれた姿勢も含めて大好きな書店が存在するんですよ。
その書店こそがオークスブックセンター東京ドームシティ店。
「文系野球の聖地」という惹句を看板に掲げて営業する、その書店は東京ドームのすぐそば、後楽園にある。
土地柄もあって、店前に陳列する書籍は東京ドームで行われるイベントにあわせて、カメレオンのように変化する。
ジャニーズのイベントがあればジャニーズ一色。後楽園ホールでプロレスがあればプロレス本が並ぶし、巨人戦があれば店頭は巨人関連の本で埋め尽くされる。
来店する人の需要にあわせて供給をコントロールする。
言ってしまえば至極単純なことだが、単純なことを徹底することはご存知の通り意外と難しい。
想像してみてほしい。
あなたの近所の書店に新刊搬入以外で棚が劇的に変わる書店があるだろうか。そうそうないはず。
足を運べる距離にある人は是非とも一度オークスブックセンターに行っていただいて、その数日後に再訪してほしい。品揃えの変化にきっと驚く。
なんというか、そういう“いい仕事”したいですよね。そんな話がしたかった。


いい仕事といえば、最近のプチ鹿島氏の活躍も素晴らしい。先日耳にしたラジオもシンプルに面白かった。
プチ鹿島のスポーツ紙大賞というコーナーで、時事ネタと見立てが得意な自称 時事芸人、プチ鹿島が“スポーツ新聞”をテーマにしつつ、見立てたっぷりで助っ人外国人を語るという内容。
紹介される助っ人はバースからホプキンス、ホーナーなどなど……有名無名問わず、ファンの心を捉えてきた助っ人外国人の話。
ひとつひとつのエピソードが、(時に憎しみも混じった)愛に溢れていていちいち笑えて……って、そこまで触れていると、この文章がとんでもない長さになってしまうので、本筋はradikoタイムシフト放送などで聞いてもらうとして……
そんなラジオを聞きながら考えていたのは、自分にとって忘れられない助っ人外国人についてだったんですね。
そこで真っ先、いの一番に思い浮かんだのがカープの助っ人外国人ルイスロペスだった。
今となっては暗黒期のカープを支えてくれたロペスに感謝しかないが、元はというと全く実績のない選手で、なんで連れてきたのかもわからない選手だった。
もちろん当初は全く活躍できなかったが、コーチの指導と彼の実直で真面目な人柄が相まってか、即座に日本野球に対応・開眼した。
そこからは(長い目で見ると、好成績に浮かれて調子を落とし、そんな自分に反省して…また成績を上げては浮かれて調子を落とし…を繰り返した選手だったが)、2年連続で打点王のタイトルを獲得してくれた。
これぞ助っ人外国人だ!
デカい体は打席に立てば飛ばしてくれる雰囲気たっぷりだったし、彼がいなければカープはどこまで落ちて行ったことか、考えるだけで恐ろしい。
異国の文化に適応して大活躍。なんとも格好いいじゃないですか。
自分もそんないい仕事がしたいと強く思いましたよ、ええ(前田との喧嘩騒ぎは余計だったけどな)。


そんなカープも昨年はついにセリーグ制覇。そして今年も好調を続けていたが、本日ついに首位陥落。
こどもの日の翌日に嫌な負け方で2位に転落したのは残念でしかないものの、競馬は好調で。今週末のNHKマイルカップにもその勢いを繋げたい。
当初はオールザゴーを本命に据えようと考えていたものの、アルーリングアクトアルーリングボイスという母系なだけにL質が強く出ていて、ダウンに反応している可能性が高そうで断念。とはいえ人気はないので、紐で買いますが…
代わりに…といっちゃなんだが、本命に推すのはボンゼルヴィーソ。
もともと人気してない馬だけど、そこから更に人気落とす今回、なんとも馬券の軸には向いていて。正直買いたい最も大きな理由はそれ。
他にも捻り出すと、前に行きたい馬がいることも多いものほ、ハナ絶対という馬がいるわけでもなく、団子隊列がイメージできる。そうなると先行経験で結果を残してきた当馬にとって競馬はしやすそうで。
出遅れも取り返せることが前走証明できたこともプラス材料。
なんなら今回忙しい流れになれば、中団待機も位置取りショックのオプションとして持ててますしね。
いやー、なんといっても、ボンゼルヴィーソの馬名の由来は「いい仕事を」ですからね。いまの自分の気持ちにぴったり。
ということで、ボンゼルヴィーソ、オールザゴーあたりから馬券をしこたま買い込みたい。

……
ほんとに雑な構成、雑な馬名オチで恐縮ですが、時間がないので今日はこのあたりで!

血統と金力(天皇賞 春)

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「血統と金力。そういうもので政治をやると思っているわけでしょうが、それは甚だ間違っている」(要旨)
こうして近代政治を批判したのは稀代の知識人、丸谷才一だった。
他にも
「かつては、寝ないことがフェミニズムであった。そして今は、寝ることがフェミニズムなのである」
「何かに逢着したとき、大事なのは、まず頭を動かすこと。ある程度の時間をかけて自分一人でじーっと考える」
などなど、多岐にわたって地に足のついた知的な文が人気を呼んで、現在も体裁を変えつつ若い世代を中心に丸谷作品が売れ続けている。
SNSの存在が当然で、140字以上の文章を読まない、インスタジェニックな商品・体験を求める。そんなどこか蔑まれた目線で語られることの多いZ世代に彼の本が売れるということに丸谷の文筆、つまり文章が持つ本来の力が時代に求められていることが透けてわかる……
と、自分が編集したわけでもない書籍の宣伝をはじめかけたところで、まずは持論をひとつ。


歌舞伎町にあまた存在するキャバ嬢は誰に教わったのか、ある時期を境に、好きな映画を尋ねると『テッド』と答えるこが定型句になっていた。
10人に聞いたら4,5人は『テッド』が好きだと答える。マジで。嘘だと思うなら6000円を握りしめて、早い時間から適当な店に入って、聞いてみればいい。間違いなく打率は全盛期イチローを超す。
視点を変えて、ロハでコーマンを目指すなら、「○○ちゃん『テッド』とか好きでしょ」みたいなやり取りをするのもいいかもしれない。
先日、玲緒奈ちゃんもテッドが好きだと告白してきた。


「でも私、主人公があのマッチョな人にハマってるのとか、よくわからないとこもあってさ」
「あー!あれは…んーっと、なんだったっけ…フラッシュゴードンか。昔の映画でさ。いやー超駄作なんだけどね。スターウォーズの製作サイドは本当はフラッシュゴードンの権利を取りたかったんだけど、結局負けちゃってスターウォーズを取ることになったっていう経緯があってさあ。結果はもちろんフラッシュゴードンが大コケで、スターウォーズが大ヒットしたんだけどね。なんというか、その愛おしい経緯含めて、日陰者っていうか、一部に熱狂的なファンがいるんだよね」
「えー中田さんすごーい!超物知りじゃん!」
「別にそんなことないって」
「いやーなんか趣味映画って書いてるから、よく映画の話されるんだけどフラッシュゴードンの話する人なんて中田さんが初めてだよ」
「うっそー、初めてとか言っちゃって、玲緒奈ちゃん何個もそういうパターン持ってるんでしょ」
「マジだって〜マジで初めて〜」
それから耳元でこう言う。
「ほんとに初めてだよ。フラッシュゴードンの件は知ってたけどね。こういうところ来る男の人って映画とか興味ある人少ないから、あんまり話合わないんだけど、いまはほんとに楽しい」
ああ眩しすぎるよ玲緒奈ちゃん。ロハでコーマンどころか、その凄まじい女優っぷりであっさり手玉に取られて即ドリンクを追加注文。
隣の席では太ったおじさんが高そうな年代物のシャンパンを開けていたけど、俺の飲んだ鏡月の水割りの方がうまかったに違いない。
高そうなシャンパンと鏡月の水割り。どちらがうまいか。
「金力。そういうもので酒の味が決まると思っているわけでしょうが、それは甚だ間違っている」ってなわけですわ。


与太話から一気に現実的な話に移ると、今週は何かと政治スキャンダルが目立った一週間だった。
今村雅弘復興相の失言は“病気”の一言で済ませるとして……
学芸員は観光振興のがん」という山本幸三地方創生担当相の発言は兎に角センスがない。
癌を広辞苑で引くと“比喩的に機構・組織などで取り除きがたい難点”とある。学芸員は観光振興における邪魔者だと伝えたいのであれば、誤用ではないものの、今どき癌っていう表現。それはどうなの。
癌細胞は日々摂取生成されている。それと同時に、医療の発展で癌とうまく付き合っていける人も増えた。もちろん完全に取り除くことはできないし、転移が耐えがたい苦痛を呼ぶ事もある。
キツい事実ではあるけど、いまや日本人の半分が癌になる時代というわけで。
「○○は(我が組織における)癌」
周知の事実に目を向けず、時代遅れな言葉選びをする御人には、そりゃあ学芸員の役割なんて推し量ることができないでしょう。
カーターに学べばわかるとおり、政治家はセンスが何より大事。
とまあ、重箱の隅を突つこうと思っていたら、出ました!中川俊直の不倫問題!
父親から譲り受けた地位を利用して政治家になり、それでいて高校生からの付き合いがある奥さんをさしおいて、海外で愛人と極秘婚。これはなんともけしからん。
何度も書くようですけど
「血統と金力。そういうもので政治をやると思っているわけでしょうが、それは甚だ間違っている」ってなわけですよ。


さてさて競馬の話。
今年の天皇賞春はなんといってもキタサンブラックサトノダイヤモンドの二強対決が注目を集める。
両雄ががっぷり四つでしのぎを削る展開になりそうなだけに馬券的な妙味は期待できそうにないが、そこは波乱の舞台、淀の長距離。波乱にも期待しておきたい、と書いておきながら◎はキタサンブラック
もう逆らうのが馬鹿馬鹿しい稀代の名馬。はい。ストレスとか鮮度とかリズムとか、そうした物差しで測れる馬じゃないんでしょう。そう思うのがあの馬の戦績を理解するのに一番納得がいく。馬体は絞って出てきてほしいですね。


二強対決が騒がれるうちの一頭キタサンブラックは庭先取引推定価格2000万円ほどのブラックタイド産駒、かたやサトノダイヤモンドは落札価格2億4150万円のディープインパクト産駒。
針の穴を通すコントロールかのごとく、どちらが先着するかを選ぶ丁半博打に乗るわけじゃないけど
「血統と金力。そういうもので競馬をやると思っているわけでしょうが、それは甚だ間違っている」ってなわけですよ。
丸谷才一を読み返しながらそんな感じで。

相手にゴールドアクターアルバートディーマジェスティあたりをおいて少額で楽しむ所存です。