思い込み(アイビスSD)

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 中高一貫の男子校だったんですよね、と大人になって話すと、生徒全員が女体への欲求を体いっぱいに湛え、悶々と日々を過ごす、そんな環境で育ったんだろう、と想像されることが多いように思うし、これまで多くのサブカル系エッセイにも(自己を卑下した優越感たっぷりに)書かれていた。そのイメージは、全く間違っていない。高校生ともなれば、よりどうしようもないことに尽力するようになるものの、中学生の頃なんて、それはそれは、“いい”ビデオがあればすぐに共有するし、じゃんけんで負けた人が、その罰としてコンビニまで走り、最もグッとくる雑誌を買ってくるというエロ本じゃんけんを週1のペースで行うし、雑貨屋で売っているおもしろコンドームは交換しあう。なんなら、お互いでヌキ始める一歩手前といっても過言ではない。そんな友だちが5、6人はいた。

 その内の1人、H中くんの話をしたい。待ちに待った彼の童貞喪失の日。あれは中学2年生の冬休みのことだった。はじめてコンドームを手にした彼は、一体何を感じたのか「なんかヌルヌルしとるんじゃけど……これ腐っとるんじゃないん?」とその場で、その場で、、その場で、、、男友だちに電話をしたのだ。翌日からさっそく格好のネタになるわけだけど、その際のH中くんの弁解はというと「あいつにもらったコンドームじゃけぇ、なんか変なことしとるかと思うじゃん!」というものだった。苦しい、苦しいよ、H中。よしんば、コンドームが腐るとしても、冬には腐らないだろう、夏だろう、夏にも腐りはしないだろうけどさ。潤滑性を高めるために、てらっとした成分が塗布されている、とかなんとか、どうにか自分自身を納得させることはできなかったのだろうか。なぜその場で電話をしてしまったのだろうか。そこで導き出される結論が、この投稿のタイトル“思い込み”というわけです。彼が想像していたコンドームという物体は、きっとサラサラだったんでしょう。“ゴム”とも呼ばれるし、輪ゴムのような材質だと考えていたのかもしれませんね。生まれてこのかた、こうだと思い込み、疑うということを考えもしなかった物体が、全く異なる姿形で目の前に現れた時、彼は脳みそを沸騰させ、090……とプッシュしていたんでしょう。その後、H中くんが彼女とどうなったのかについては、お察しの通り。

 

 競馬においても、思い込みというのはとても怖い。全ての予想(サインとか、そういった類のものは除いて)は、過去の情報を取捨選択し、検討することだといっても過言ではないだけに、ひとつの情報を思い込みで解釈してしまうだけで、その予想は的はずれなものになってしまう。例えば、マツリダゴッホ産駒は中山よりも府中に適性があるにも関わらず、マツリダゴッホ自身が中山専用機だったことから、そのイメージのまま、産駒にもその傾向が引き継がれている、そのように考えてしまったら、それだけで予想はぐらつく。中でも特に思い込みが起こりがちなのが、“データ”だと思う。「過去10年スワンステークスでは1枠、7枠の連対率が高い」といったような文言、よく目にするものの、これをそのまま鵜呑みにしてしまうと、それは盛大な勘違いに繋がる。なぜなら、1枠、7枠に実力を持った馬が集中していただけかもしれないし、そうしたノイズを排除するには過去10年という試行数では心もとない。なんなら、思い込みを無くしていく作業こそが競馬予想なのかもしれませんね、そんな当たり前の話。

 ということで話は、今週末の重賞、アイビスサマーダッシュ。新潟1000直の舞台で行われるこのレースには、強力なデータがある。それは、過去10年平均で毎年2頭は2ケタ馬番の馬が絡んでいるというもの。このデータは、鵜呑みによる思い込みに留まらない、それを裏付けるはっきりとした理由がある。芝の傷みが少ない外枠を走った馬がトラックバイアスによる恩恵を受けられるからだ。もちろん直線コースなんだから、途切れの無い外ラチ付近を目標に走ることができるというのも利のひとつ。どちらも当たり前の話。だけど、2ケタ馬番をプラスで見ると言うデータは、裏付けのあるものだし、積極的に取り入れたい。今現在、狙いをつけている3頭は近走着順で評価を落としているものの新潟1000直の適性が高い馬ばかり。その中から外枠に入った馬を馬券の中心に据える。1頭入れば複勝・三連複1当軸だし、2頭入ればワイド・三連複2頭軸、3頭入れば三連複1点買いでシアワセになれる。ハッシュ、マイネルエテルネル、ローズミラクル、3頭のうち、1頭も外枠に入らないという事態を考えもしない、思い込み全開の予想で今週を乗り切ります。