指原莉乃さん(函館記念予想)

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HKT48の指原莉乃(24)が、番組ロケで初めてクラブを訪れたがその雰囲気に号泣してしまい、企画が中止になっていたことが明らかになった。
「初めてのクラブで酔っぱらいもたくさんいて、話しかけられて、人見知りなんで怖かったんでしょうね。泣いてしまいまして……」と、企画が中止になったことを明かした。


毎日毎日ヒアリ松居一代のニュースばかりを往復ビンタ状態で見せられているせいか、こんな芸能ニュースですら興味深く思えてくるから人間の関心とは不思議なものである。
メディアがやる気を出せば、人の関心なんていかようにも操作できそう。そう今の中国みたいにさ。
いや、そんな政治的な話が書きたいんじゃない。

 

クラブに入って泣いてしまう人がいるという事実に結構驚かされた。
自分自身、今となってはとんと縁遠くなってしまったけど一時期は暇さえあればクラブに行っていただけに、クラブが嫌いな人間が一定数いて、クラブという場所がいかに偏見にさらされている空間かってことはわかってるつもりだ。
知人の中には、ロハでコーマンかます事を最終目標にする男女ばかりが集まるだだっ広い暗い部屋みたいのを想像してる人も少なくない。

 

ただ、そんな、いわゆる“パリピ”と呼ばれるような、EDMが流れたら粗悪でもただただ踊ってしまう(まるで、秒あたり二度の強拍があって長三度の和音が多いから歓喜を連想させる構成だ、みたいに機械的に音楽を捉えているような)人を集めるクラブばかりじゃないんだよ、指原さん。
自分が通っていたクラブは10畳くらいで、形容するとしたら紛れもなく“部屋”だった。その部屋にバーカウンターとステージとDJブースとダンスホール、談笑するためのソファーを詰め込んでるみたいな場所。ロハでコーマンかました話も聞いたことない。いや、僕が知らないだけでたくさんあったのかもしれないけど。でもあの見知った顔ばかりのクラブでそこまで持っていくなんて、実家で一度も母親にオナニーを気づかれず成人する程度に難しいことは間違いない。ベラ噛んでる人すら見たことない。あったとしても、その場で知り合った男女が手を繋いでハグしてるくらいの、そんなもんだ。どうだ!健全だろ!指原さん!
いやまあ、そんな部屋で、耳でなく肌を通して聴く音楽はそれはもう最高の一言で、グラムあたり4,000円のブースターまで加えたら、至福という言葉でも表せないほどの幸福がそこにあった。あ、そういうのが嫌なのかな。でも、今はどのクラブもクリーンだよ指原さん!

 

届くことのないプレゼンを続けているものの、そういえば僕も最初はクラブが苦手だった。
落ち着かないし、どう振る舞っていればいいのかわからない。音楽聴くのはいいんだけどトイレも汚いし。そんなわけで、デビューしてから何度かはヒシアマゾンばりに後方待機を決め込みながら、周りの楽しんでいる人を眺めて「この人たち楽しそうだなあ」なんて、思ってばかりだった。
だけど、ある日友達がナンパしてるのを見て酔いにまかせて突っ込んでみたら、フロアで一緒に踊りながら酒飲めたんだよな。朝まで一緒に踊ってさ、クラブ出た時の日の出は富士山で見たそれより気持ちよかったし、一緒に食べた道玄坂のラーメン屋は味は不味かったけどロブションよりも美味かったんだよな。
本格的にクラブにハマったのはそれ以来。元々そういう音楽を嗜好してたことも手伝ってか、わざわざイラレでフェイクのIDをつくったりしてさ。
通いつめてきたけど、いい思い出なんて本当にわずかなもので、合法非合法問わずぐちゃぐちゃに酔っ払ってしまった情けない話の方が多いんだけど。それが楽しかったのかもしれない。
彼女へのプレゼンは途中で途切れちゃったけど、一歩踏み出さなければ味わえない楽しみが確実にそこにはあったんだよ、多分。そういうことが書きたかった。


さて、毎週通う場所が池袋のクラブから後楽園のWINSに変わった僕が今週末の函館記念で本命に推す馬はカムフィー。
洋芝実績は証明済み。今回は前に行きたい馬が揃って例年以上にタフなレースになりそうなのもスタミナ寄りのカムフィーにとっては好条件。典型的なダンスインザダーク産駒らしい挙動を示しているだけに、加齢しようと飽きさせなければ走るはず。それだけにレース条件&質替わりもプラス材料と取った。しかもここにきて恵みの雨。どんどんカムフィーに追い風が吹いてきた。想定最低人気なだけに振り回して勝負したいところ。
いやはや、1600m戦から3600m戦までありとあらゆるコースに挑戦してきた本馬が重賞を勝ち取る。一歩踏み出し続けてきた者にだけ与えられる栄冠が輝くんだ、うん。


それにしてもクラブに入るや泣いてしまうなんて「なんだかよくわからないけど怖い人が集まってる危ない場所」みたいなイメージを無意識的に抱えてるんですかね。
そこを一歩踏み越えたら結構楽しい世界が待ってると思うんだよな、ほんと。もちろんアレルギー的に無理な場合もあるようだから強制するわけじゃないけど。
同じAKBグループの秋元才加をなんかのパーティーで見かけた時はすげー綺麗でかっこよかったぞ、うん。

罵詈雑言(七夕賞予想)

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書店の辞典棚を見回してみると日本語の多様性に気づかされることしきり。国語辞典だけでも数十種類あり、慣用表現や類語、その他の辞典まで含めると、一生かけて日本語の1割も習得できないような気すらしてくる。
感情表現、舞台設定、官能小説用語表現、人物表現、感覚表現、死語……
これらも全て「辞典」として書籍化しているテーマ。中にはエッセイ風味のおおよそ辞典とは呼びづらいものもあるものの、そんなめくるめく辞典の世界から一冊を取り上げたい。『罵詈雑言辞典』という本がある。

「世の中に敬語があふれすぎている」
話し言葉が丁寧になり過ぎた」
そもそも日本語は罵倒語に乏しい。特に関東圏において、関西はやや豊富だが、それでも他国語と較べれば貧困だという。
馬鹿・阿呆・田舎っぺ・ぐうたら・素寒貧……たしかに罵詈雑言を連想してみても、なかなかすんなり、とは出てこない。
よく使われる罵倒語から耳慣れない、あるいは初めて聞く罵倒語まで。1200語もの罵詈雑言が収録されているというのだから(私の場合口の悪さに拍車をかけぬよう、なるべく読まないようにしているが)労してつくられた一冊であることは間違いない。元々は25年ほど前に初版が発行され、以降絶版になっていた本書。先月の9日に新装版と形を変えて復刊する運びとなったので、まあ宣伝気分でここまで書いてみましたよっと。


さて政治家が秘書に対して「このハゲー!」と喚く時代である。今回の復刊は社会を示唆していると言えなくもない気が。
それにしても「このハゲー!」でおなじみ豊田議員をめぐる報道には、ただただ違和感が募る。そんなことないですか?
19時からのバラエティ番組ではハゲをネタに笑いを取りながら、14時からのワイドショーではハゲとは何事か…と腕組みして批判。
いやいや、人の見た目を侮蔑するという、最低レベルの罵詈雑言をここまでカジュアルに仕立て上げたのは、バラエティ番組のあなた方でしょうよ。今さら真面目な面して「見た目に関することは言っちゃダメですよね」って一体なんのご冗談ですか。
見た目を侮蔑する言葉として「ハゲ」だけは言ってもオッケーなものとして扱ってきた張本人が、何かあったらこれですよ。てめえはお調子者の学級委員か。
誤解を防ぐために付け足すと「ハゲなんて人に言うもんじゃない!」と説教したいわけじゃない。むしろその逆。
たしかに人を差別するのはよろしくないが、問題は罵語そのものを差別語だとして排除する見当違いさ。杓子定規なポリティカルコレクトネスを盾にして、あらゆるものを制限して監視して、どんどん生きづらくなっていくのが嫌でさ。
本当にダメなのは、特定の人を罵る態度や精神構造やそれを助長する欺瞞に満ちた振る舞いであって、罵語にあらぬ罪を被せても仕方ないっすよ。
そうそう罵語に罪はない。競馬場にいるとよく気づかされるが、言い回しひとつで罵倒は豊かな日本語表現につながるし、筋の通った流麗な罵詈雑言は聞いていて気持ちがいいもので…って話が逸れそうなんで競馬の話に。


今週末開催されるはハンデ重賞の七夕賞。本命に推す馬はバーディーイーグルに決まっている。
前走で差しに回して激走したものの、そこはリズム上げてきてるブライアンズタイム。帳消し、むしろプラス。延長だし素直に先行の位置取りショック、なんてったって53kg。素直にゲート出れば中団前目にはつけられるでしょう。ペースはそこそこ流れるだろうし、道中は脚をためることに専念しつつ、夏に向けて取り戻してきた破壊力で直線ズドン。そして言わずもがなニジンスキー内包は七夕賞の特注血統。それで9番人気ですか。全力でマークシートを塗らせていただきます。

「このハゲ!何が東の豊じゃ!中枠で控えさすな言いよろうが!中団で追走させりゃよかろうもんを!ほんまにカバチタレが!」
こんな罵詈雑言が思わず口をついて出るようなレースにならないことを期待しています……

 

環境から飛び出して(スパーキングレディーカップ予想)

f:id:BxKxN:20170706120844j:imageAmazonが六本木にポップアップストアを開店するというニュースを目にした。
プライム会員の魅力を伝えることが主な目的で、商品販売は行わないとのことだが、日本でも実店舗を展開していきたいという魂胆は透けて見えているし、そのための布石を兼ねているのだろう。
既にアメリカでは書店をオープンさせて、経営も軌道に乗っているわけで、日本全国各地にAmazon書店が遍在する未来もそう遠くはなさそうだが、果たしてそれは良いことなのか悪いことなのか。
税金を納めているのかどうかも不明瞭な会社に金を落とすなんてけしからん!
そんな話をしたいわけではない。
むしろ歓迎大歓迎。実店舗を持つこと大事。ウェルカムAmazon書店。
ただでさえ、ここ20年弱で書店の数は半分に減ってしまっているなか、書店が1店舗でも増えるのは単純に好ましい。ビジネスモデルも従来の書店とは違うわけで住み分けもできる。いいことづくし。

なんてったって、本は「どんな時に」「どこで買った」かも大事な要素。なんなら、そこまで含めることこそが読書体験だと考えているだけに、書店が存在するということはとても大切なのだ。
ワンクリックで読みたい本が手元に届く便利さも否定しないが、読書体験は購入する時点から始まっている、うん。


というわけで今回の更新は「どんな時に」「どこで買った」かを含めた読書の話からしていきたい。
あれは5,6年前の夏。
初めてのぞき部屋に行った帰りのことだった。
まだ歌舞伎町のコマ劇跡地に高層ビルが建つ前の暑い日、のぞき部屋 マドンナに入店した。
昭和から続いていそうなギラギラ感とキナ臭さが予てから気になっていたのだ。
金はないが、いかがわしい気持ちはある。そんな標準的若者が薄暗ーい階段を下りていくと、おじさん店員から2000円を支払うよう求められる。なんの話もなしに金からかよ…なんて思いながらも、財布の中から5000円札を取り出すと、お釣りの札を何度も数えながら
「個室に入って15分女の子のショーが鑑賞できます。撮影できるものは全て預けてください。破られた場合は罰金として50万円いただきますので必ず預けてくださいね。はい3000万円」
と、機械的に説明された。RPGのモブキャラばりの要件しか伝えてこない店員、そしてiPhoneまで預けなければいけないことに、なんだかイヤな気持ちになりながらもすぐさま個室に通された。後戻りはできない。
部屋の中にはティッシュとゴミ箱があった。広さは漫画喫茶の個室を二回り小さくしたほど。ゴミ箱の中には前任者のブツが残されており、思わず気圧されそうになるものの、ショーはこれから。楽しんでいこう。
好奇心で胸を躍らせていると、なぜかハードロックが流れ始める。すると間も無く嬢が登場。
30代半ばのお姉さまが不器用に腰をくねらせながらマジックミラー越しに挑発してくる。その後は各個室の前まで移動し、股ぐらをこねくり回して見せつけてくれる。
その間にBGMのハードロックは録音された喘ぎ声に何故か切り替わり、
「なるほど……このおばさんを見ながら中でいたせということか……」と察したものの、全く愚息は反応しない。
「嬢の足首に彫られた蠍のタトゥー、ガタガタだなあ……」などと考えていると、突然後ろから声をかけられた。
「オプションどうしますか?」
お、そんなサービスがあるんですね。
値段を聞いてみると、手でしてもらうのに2000円、口でしてもらうのに3000円。
いやー、声をかけてきた人もなかなかのもので……なんて断ろうかななんて考えている一方で踊り子さんはどんどんヒートアップしている。
BGMは録音の喘ぎ声から、これまた録音の「イクッ!…イクッ……!」というサウンドに変わり……
っておいおい、これじゃただの風俗レポになってしまう。


話を戻そう。
そう、結局自分は15分のショーの間中、死んだ魚のような目をして過ごしたのだ。ショーが終わり、やるせない気分に陥った自分が向かった先が新宿紀伊国屋だった。
オプションを一切使用しなかったことで浮いたお金を握りしめ、妙に達観したような気持ちで買った本は『もういちど読む山川世界史』だった。
普段ならまず手に取らない本を購入している事から、その時の心中は今でもうかがい知れる。辛かったろうな、うん。
あの不思議な、忌まわしき出来事は忘れよう。
そう考えて歌舞伎町から北西に向かって歩き、大久保の公園にたどり着いた。
さっきまでは聞こえてこなかったセミのうるさい声がどこか心地よく、真夏の日差しはクッキリと網膜に焼き付けられたのぞき部屋の映像を焦がし取ってくれそうだった。


ベンチに腰を落とし、買ったばかりの本を読み進めたのだが、夕方になる頃には全てを読み終えた。よほど本の世界に逃げ込みたかったということか。
没入していたのだろう。この時に読んだ事象や言葉のいくつかはいまだに頭の中に残っている。
ここでは記憶している言葉の中で、荘子の「惠蛄(けいこ)春秋を知らず」という言葉を紹介したい。惠蛄とセミのことで、簡単に口語訳すれば「セミは春秋を知らない」という言葉だ。
セミは長い間、土の中で過ごし、夏の間だけ外に出て、夏のうちに死んでしまう。
そのため、セミは春や秋という季節を知らない。
よって、春も、秋も、冬も知らないセミにとって、夏の暑さが普通であるし、夏の情景こそがすべて。
翻って、夏しか知らないセミは夏自体を知らないというわけだ。
これを人間の人生に置き換えれば、いま自分のいる環境だけにとらわれている人は、その環境が良い環境なのか、はたまた悪い環境なのか、それすらも分からないということ。何事も外に向かって挑戦することで学びを得られるんですよ、という意味なんだそうだ。
なるほど、のぞき部屋での一件も無駄なことではなかったんだな……荘子に励まされたような気持ちになった。
なんだか伝わりづらい組み立てになってしまったものの、読書体験にとって「どんな時に」「どこで買ったか」は重要な要素なわけですよ、うん。


さて、長々と書き連ねた先にたどり着くのは競馬の予想。
週中に開催されるダートグレード競走スパーキングレディーカップで本命に推す馬はアンジュデジールに決めた。
2014世代のPOG指名馬だったぶん贔屓目に見ている面もあるものの、適距離戻りで短縮逆ショッカー気味に位置取り取れそうなのは好材料
イン2からトーコーヴィーナスをお掃除して押し切る展開が望ましいですね。もちろん今開催の川崎の傾向から逃げもベター。
中央1000万ダートで勝てるだけのタイムを持っていながらして斤量は52キロで、サクラフローラとその差3キロとなると期待は膨らむ。
あとは馬場。レース開始時までにどれくらい乾くか、内から乾くのか、外から乾くのか次第ではあるものの、さすがにパサパサに乾いた方向のタフな路面にはならないだろう、多少人気していても本命視で。

「惠蛄春秋を知らず」ってわけではないものの、この馬もかつては芝でしか走ったことがなかったが、3走前にダートでの走りを知った。ようやく見つけた自分の輝ける環境。ディープのダート馬…いいイメージは湧かないものの、新たな環境で高みを目指す走り、期待してます。

ある棋士について(宝塚記念予想)

豪放磊落(ごうほうらいらく)な人柄で多くの人を魅了した囲碁棋士藤沢秀行さんと、将棋棋士芹沢博文さんが、こんな話をしたことがあったという。我々は囲碁や将棋をどれほど分かっているのか。神様が百としたら、どの程度か

二人で紙に数字を書いて見せ合ったら、答えが一致した。わずか六か七。
(中略)
それが今や囲碁や将棋でトップ棋士たちが人工知能(AI)に勝てない時代となった。AIが百としてさて我々は…と問わねばならぬ時代となったのだから、それこそボウ然となる。
だが、そんなコンピューターの力を使い、飛躍的に力を伸ばした棋士もいる。十四歳で将棋の公式戦最多連勝記録に並んだ藤井聡太四段だ。「人間では思いつかない手を指すソフト」との対局で、既成観念にとらわれぬ一手を追い求めているそうだ。藤井四段は連勝記録だけでなく、「六か七」の壁を破ってくれるだろう。
藤井聡太四段が前人未到の連勝記録に手をかけた翌日の東京新聞に以上のコラムが掲載されていた。


今週の(明るい)大きなニュースといえばなんといってもこの件だろう。というわけで、今回の更新は将棋の話題。
とはいっても将棋について私はほとんど知らない。
もちろん駒の動かし方はわかるし、詰将棋に頭を捻らせる程度のことはできる。
ただ、棋譜を見てどうのこうのと語ることはできないし、今回の藤井聡太四段の連勝っぷりがどれほど凄いことなのかもいまいちよくわかっていない、なんなら四段がどれほどの強さなのかすらわかっていない。
いやはやそんな目線から何を書いていこうか…と思いながら、自宅の本棚を眺めていると一冊の本が目についた。

真剣師小池重明』ーー
上で引用したコラム中に「豪放磊落」という言葉が挙がっていたが、その言葉は彼のような男を指す。
羽生善治加藤一二三升田幸三……
棋士には変人が多く、その半生について書かれた本も多く出版されていて、あらかた目を通してきている自負がある身はあるが「豪放磊落」が似合う棋士は彼唯一に違いない、うん。こういう切り口で入ってみよう。

父親は健常者でありながら物乞いをしては博打に明け暮れ、母親は自宅で客の相手をする娼婦だった。そんな家庭に育った小池は父親から「男なら博打の一つも憶えておけ」と言われたことをきっかけに将棋に熱中するようになる。
高校を中退し、家出して向かった先は東京の将棋センター。上京した彼は女にうつつを抜かしながらも、これまでに培った勝負勘で賭け将棋を連戦連勝。普段の生活の中で将棋の研究などは一切行わず、そもそも自宅に将棋盤を置いていないにも関わらず、勝ちを積み重ねた。
事前に対戦相手の対策を練る事をしない事でも知られた。ある大会に小池が出場した際、明らかに酒に酔った状態で会場入りして控え室で寝てしまい、対局直前になっても目覚めないため係員が揺り起こしたという逸話が残されているほどだ。そのうち小池は「新宿の殺し屋」と呼ばれるようになった。
その頃、世は将棋ブーム。アマチュアの大会でも多額の賞金が出ていたため、次第に小池も大会に出場することとなる。そこでも変わらず連勝。名実ともにアマチュア将棋のトップに上り詰めた彼はプロ棋士とも対戦するようになるのだが、そこでも変わらず勝利を重ねる。
しかし、離婚を原因に連日泥酔するまで酒を飲み歩くなど次第に荒んだ生活を送るようになっていた。寸借詐欺騒動だとか浪費癖、暴行事件、女性関係のトラブルなど素行の悪さが表面化してプロ入りはかなわなかった。
賭け将棋で彼と指す人はいなくなり、プロ入りもできない。将棋界に絶望し、そこから10年以上将棋界から身を引いた小池だったが、ある人物が彼を勝負の世界に呼び戻す。
その人物こそ、本書を執筆した団鬼六だったわけで……

そんな男は、羽生善治をして「生き様のように将棋自体は型破りそのもの。しかし、とにかく強かったという事を鮮明に憶えている」と言わせるほど。
重要な節目節目で必ず女と鮭に溺れて失敗する小池だったが、世の将棋ファンは彼に熱狂していた。
彼が将棋界にもたらした旋風もそうだが、あるジャンルが盛り上がるためにはヒーローとヒールが同じ時代に存在することが非常に大きな要素といえる。


ヒーローか…ヒールか…判断に迷うキタサンブラックが圧倒的な一番人気を集める宝塚記念だが、本命に推す馬はレインボーラインに決めた。
重馬場が予想される宝塚記念。波乱に期待したい。
レインボーラインは血統構成を考えても、相対的に雨はプラス。
加えて、近走内容からもストレス・疲労から解放されていて。一気の距離短縮、しかもバウンド。非根幹距離となるとこの馬の持つ、なんというか、いい重さが際立つだろう。
距離もようやく適距離になるわけで…タイミングでいえば走れるタイミングだろう……この人気なら塗る。
ゴールドアクターが逃げて前が忙しくなるようなら……他力本願な面はあるもののキタサンブラックに喧嘩を売って馬券を買いたい。

鞍上は地方出身の岩田康誠
彼に史上最強のアマチュア棋士小池重明を重ねて見た。
中央・地方という二項を対立して見てプロ・アマという見立てで測ることは、かなり強引かつ失礼な気もするが、
「型破り。しかし、とにかく強かった。」
羽生善治が小池をそう表した言葉は地方出身の岩田康誠の全盛期によく似合う言葉であることに違いはない。彼の豪放磊落な騎乗に期待したい。
…38度の熱発を言い訳にこれくらいでしか今回はまとめられず……お粗末ですんません……

居場所はどこにある(函館スプリントS予想)

「据え膳食わぬは男の恥」とはよくいうが、実際にそんな現場に遭遇すると、その後に起こりうるめんどくささが透けて見えることが多く、なかなか事には及びづらい。

共に終電を逃した末、Kさんと池袋の公園脇にあるホテルで朝まで過ごした時もそうだった。

Kさんは大学の一学年上の先輩。才色兼備をかたちにしたような人で、俺の拙い喋りを楽しそうに聞いてくれ、共感できない点は理解しようと努めてくれる、理解できない場合は建設的な批判を突きつけてきて、なおかつ飲みっぷりもいい。新垣結衣に似ていたこともあって、憧れのかっこいい女性としてKさんと接していた。
思えば、Kさんは自分が想像していた大学生活との大きなギャップを痛感していた時に知り合った女性だった。
上京しても好転しない生活にも関わらず映画ばかり見て、酒を飲み続け、人の意見を積極的に聞こうともしない。もっと売れたいから注目してくれ……そんなモラトリアムの中、熱心に話を聞いてくれる美人なんかと出会ったら、そりゃもうホの字ですわ。
拠り所、というか、偽らざる自分を受け入れてくれる「居場所」みたいな人だったんだと思う。
ってなわけで、あの夜も口説きに口説いた果てにホテルにたどり着いていた。
頭の中は情事でいっぱい。羽生善治ばりにこれからの指し手を100手先まで読んだ。王将を討ちとれない悪手を片っ端から消して、黄金手を探し出した。
にも関わらず、にも関わらず、結局手出しできなかったんですよね。
その後に起こりうること。なんというか、大切にしたいと思っている「居場所」が無くなることを恐れて逡巡したんでしょうね。今思えば、うん。

そんなKさんと先日4年ぶりに再会した。
転職で東京に戻ってきたことを知った自分から声をかけたのだ。
再会の日は夜遅くまで飲むこともなく、ホテルにも行かず、アバンチュールなんてもちろんない。そのまま帰宅した。
いや、なんというか、それが良かったんですよね。
大切な関係がいまもこうして保てていたのは、あの夜、据え膳よりも自分の居場所を優先したからだったかもな、そんなことを考えたわけですよ、うん。


今回は「居場所」についての話から入ってみた。というのも……
若者の6割がインターネット空間を「自分の居場所と感じている」政府調査 学校・職場を超える
という見出しから始まるニュースが新聞を飾っていたからで。
そのまま読み進めてみると
若者の“居場所”についても調査を実施。自分の部屋、家庭、学校、職場、地域、インターネット空間の6つの場所で、それぞれ“自分の居場所だと感じている”かどうかを調べています。その結果、自分の部屋(89.0%)家庭(79.9%)に次いで、インターネット空間(62.1%)を“自分の居場所”と感じている若者が多いことが分かりました。
その下には地域(58.5%)学校(49.2%)と続き、最下位は職場(39.3%)となっています。
と続く。
やや問題提起寄りの取り上げ方だったが、果たしてどうなのかと思ってですね。
別にインターネットが一番の居場所でもいいと思うわけですよ。今時そこから広がる交友関係もバカにできないもんだし、自分の居場所だと思える場所はひとつでも多く持ってた方が、心にゆとりとさわやかマナーで生きていけるはず。間違いない。
「現実世界に居場所をつくれ!」
そんな諸先輩がたの意見は隅に置いておいて、
俺が書き残しておきたいのはそういうこと。MMOで結婚式を挙げてもオッケー。俺には理解不能な世界観だけど、居場所があるってことそれ自体が素晴らしいわけで、たとえそれがどんな場所だろうと全面的に肯定したい。ってなことを酩酊した脳みそで考えた。


さてさて、今週から夏競馬。
函館で開催される今年初の重賞は函館スプリントS。本命で買う馬はクリスマスに決めた。
休み明けかつ前走凡走で疲労・ストレスからきっちり解放。土曜の競馬を見て、鞍上の松岡が函館の乗り方をしっかりと抑えていることも確認した。
普段時計はほとんど気にしていないものの、さすがにこれだけ優秀なタイムを持っている馬にローカルという居場所で輝くジョッキーが乗って6番人気なら……まとまり系の人気落ち。さすがに格下相手に情けない競馬はしないだろうし……いやはや買うという選択肢以外ない。そんな判断です。


学生時代の自分じゃないけど、居場所を探すのは競走馬も同じ。
得意な舞台、得意な距離、相性のいい鞍上……居場所を定めるにはさまざまな要素があるものの、クリスマスの居場所は北海道で間違いない。洋芝。自分の居場所で思う存分輝けクリスマス、うん。