地方で取り返すという夢物語(東京ダービー)

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 仕事が一段落ついたので、巷の本の売上をつらつらと眺めていると、今日もまた『幸せな自分になるための〜〜』といったスピリチュアル本や、『仕事ができる人の〜〜』といったビジネス書が売上ランキングの上位に名を連ねている。俺が出版業界に身を置いてからずっとこうだから、これからもこうなんだろう。求められているのはこういう類の本。これが普遍ということなんだろう。例えば、“人生 うまくいかない”でGoogle検索をかけると、約600,000件のページがヒットする。この数が多いのかどうなのか、すぐにはわからなかったけど、“ドゥラメンテ”のヒット数が440,000件ほどなので、多い方なんだと思う。うまくいかないことがそれだけあるってことなんですかね、と、やけにしみったれた書き出しだけど、それには理由がある。

 

 前開催の中央競馬で、骨折休養明け、大幅馬体重増のドゥラメンテを軽視して、ひどく負けた。その数日後、友人Rとともに「中央の負けを地方で取り返そう」と意気込んで大井競馬場へと足を運んだものの、そういう時は往々にして、ころっと負けてしまう。上の画像で飲んでいる缶ビールがアサヒではなく、金麦というところがさもありなんといったところだ。帰り際には「いやあ、うまくいかんもんやね。」と口をそろえてつぶやいた。俺にとって地方競馬は“うまくいかない”場所なのだ。中央に比べると、トラックバイアスが顕著だし、別ベクトルの血統知識も重要だし、ヤリヤラズの関係を見極める必要もある。穴馬を取ったと思っても、配当は30倍くらい。何より、中央での負けを取り返すことが目的になっているから、オッズ主体で買う馬券を検討するという、若葉マークプレーにひた走ってしまうことも少なくない。おかげさまで、負け額を弾いていると急に具合が悪くなって嘔吐してしまいそうになるほど。

 

 そんな地方競馬だが、今週の水曜日にはクラシック、南関・世代最強の馬を決める東京ダービーが開催される。うまくいかなくとも、このお祭りに参加したいという気持ちは抑えられない。ライゾマティクスが骨折によって本格始動が遅れ、ダービーに駒を進められないこと、しかも2度目の骨折を負ってしまったこと。そして、ダービーに駒を進められたラブレオも骨折によって出走できないことは素直に残念だが、馬券は馬柱に記されている馬の中から買うしかない。日本ダービーで大敗を喫してしまったからこそ、東京ダービーに向けての予想は慎重に臨む。

 軸馬は素直に羽田盃組から選びたい。休み明けで羽田盃2着。東京ダービーに照準を定めていそうなトロヴァオだが、鞍上はやや不安が残る。ならば、前走外々を回らされながらも勝ち切ったタービランスが鞍上も森泰斗と申し分なく軸馬に最適と見た。外枠を引いて、揉まれる可能性が低いこともこの馬にとっては好材料。その他、近3年は勝ち星に見放されているが、過去10年間に4度も同レースで勝利をあげている戸崎も無視するわけにはいかない。競馬学校で同級生だった泰斗と戸崎の馬連に5,000円。これを本線としたい。アンサンブルライフはいくらなんでも力が足りないと思うので、今年も文男のダービー制覇はお預け。代わりに彼らの1・2フィニッシュという物語が紡がれることを期待する。中央からここを狙って移籍してきたバルダッサーレも怖いが、地方で地道にやってきた馬の意地を信じたい。

 

 ここらで、日本ダービー安田記念と惨敗続きで萎んでいく一方の財布の中身を取り戻させていただこう。兎に角、レース後に「やっぱりうまくいかねーな。」と口にして、検索窓に“人生 うまくいかない”なんて打ち込むなんて勘弁。