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強さ、憎らしさ、身の程知らずさ(JBCクラシック)

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秋天が終わったかと思うと、翌々日にはメルボルンカップ・北海道2歳優駿が開催され、その翌日には西日本ダービー。さらにその翌日にはJBCが開催。グレードレースが立て続けに開かれて、地方競馬ならびに海外競馬の馬券も購入される好事家の皆さんにとっては、大変お忙しい1週間かと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

遅筆なもんで、上に記した競走についてはブログで書けませんでしたが、豪華なメンバーの揃ったJBCクラシック。これについてくらいは書いておきたいなと思い、今回は珍しく週半ばの更新です。

 

JBCというと、地方競馬ならびに周辺産業の存続問題が立ち上がっていた時代に、地方競馬“全体”を盛り上げる必要性に駆られた開催主の「ダートレースにおける王者決定戦をはじめることで地方競馬に活気を与えよう」という思いから始まった、そんな経緯があるため、施行される競馬場が持ち回りで行われることが大きな特徴。
つまり、レースの条件が毎年異なるというわけで、過去の傾向から馬券を買う人にとってはなかなか予想が難しいレースなのではないでしょうか。と思いきや、これまでの配当はその真逆。過去10年間の馬連平均配当は1,000円にすら達しないという堅さ。
一体なぜ、開催条件が異なるにも関わらず、これほどまでに人気サイドでの決着に終わるのだろうか。それは、誰もが考える通り、展開の紛れが少なく、力の差がレースの結果に反映されやすいダート競走であることが理由の1つだろうし、それに加えて、地方交流重賞ということで、こう書くと悲しくなりますが、実質レースに参加できる中央競馬所属の馬は数頭、JBCクラシックの場合は8頭のみの参加で、設立時の理想とは裏腹に、中央所属の強い馬が憎らしいほど強く、馬券購入者に買目を大きく絞らせていることが更に大きな理由だろう。
強い馬の強さが際立つ、それが俺にとってはJBCクラシック

 

ところで、今年の重賞を振り返ってみると、7月31日に開催されたアイビスサマーダッシュも強い馬の強さが際立つ、そんなレースだったことが思い出された。新潟直千という圧倒的外枠有利のコースで、内枠を引いてしまった1番人気のベルカントだったが、抜群のスタートから外枠に進路を取り、絶好枠から完璧なレースをしたネロをも差し切るという、敵わなさを見せつけるかのような、穴党の願いを断ち切るような勝ちっぷりだったことは記憶に新しい。

 

そんな7月31日といえば、うんこ味のカレーか、カレー味のうんこか、どちらかの選択を迫られた東京都民が小池百合子を都知事に選んだ日でもある。
もちろん翌日の新聞1面には「小池百合子 当選」の文字がデカデカと飾られる。だけど、俺が書きたいのは政治についての話じゃない。その1面を捲った3面に記された記事。社会面に並んだ「元・横綱 千代の富士死去」についてだ。
Wikipediaからの引用で恐縮ではあるが、歴代3位・通算31回の幕内最高優勝を果たしたほか、歴代2位の通算勝利数(1045勝)と同3位の幕内勝利数(807勝)、1988年5月場所7日目から同年11月場所14日目までの53連勝(取り直し制度導入後歴代3位)など、数々の栄光を手にした史上有数・昭和最後の大横綱。1人の偉大な強い男の逝去。

 

そんな千代の富士が活躍を始めた当時、最強と呼ばれた力士の1人、北の湖はその強さのあまり、当時の相撲ファンから憎らしさすら抱かれていたと聞く。北の湖が敗けると、その日の『8時だョ!全員集合』でネタにされるほどで、さらに北の湖が敗れた優勝決定戦にいたっては、瞬間最高視聴率65%もの数字を叩き出したという。それほどまでの注目を集めた取組で北の湖を下した力士こそ、千代の富士だった。
千代の富士は、小兵ながらも良質な筋肉を持っていたこともあり、力に任せて無理な上手投げを繰り返し、若かりし頃から肩には脱臼癖がついてしまっていた。力づくの上手投げを主としたその戦法は、後に当時の関脇、玉ノ海から「身の程知らずの相撲取りだった」とすら評された。そんな千代の富士横綱にまで登りつめたのは、 脱臼のリスクを軽減するために、酒タバコを断ち、肉体改造を重ねたことはもちろんのこと、素早く前三つを取る戦法に切り替えたことが大きな理由だと述懐する。これらを振り返った九重は「脱臼こそが千代の富士という大横綱を作った」と後に語った。

 

いつものごとく余談が長くなったが、身の程知らずな相撲を経たことが大横綱をつくった、その見方こそが、今回のJBCクラシックで俺が本命視する馬にも関係する。

俺が本命の印を打つホッコータルマエもこれまで散々身の程知らずな競馬をしてきた。いつぞやのJBCクラシックでは、それまで多くのレースで勝ちを分け合ったコパノリッキーに執拗に絡みに行ったし、内枠の逃げ馬に何がなんでもハナを譲らせまいとする、無理な行きっぷりで勝ちを逃したレースもあった。その時の身の程知らずな経験がここで活きる。アウォーディーコパノリッキーをはじめ、千代の富士の例えでいうと、隆の里を思い起こさせるような、憎らしいほど強い馬に囲まれてのレースにはなるが、鮮度で走るとタイプの馬ではなく、鞍上もさすがにいつかのような無理な主張はしないだろう。コパノリッキーを潰そうと前々で豊が競馬をして、前に重心がかかる中、先行ちょい差し、大人の競馬でタルマエが馬券になる。
千代の富士も上手投げ一辺倒の頃から強く、ルックスも兼ね備え、人気を集めた力士だったが、大横綱になったのは経験があってこそ。ホッコータルマエもここで力を見せつけてさらにその地位を向上させることに期待。