俺という愚かな生き物(阪神大賞典予想)

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 人っていうのは……っていうと主語が大きすぎるか。少なくとも私にとって、この度の新型コロナウイルスの一連の騒ぎはそこまで大きな問題ではない。想像力が足りないといわれても仕方ないが、トイレットペーパーもティッシュペーパーも備蓄があるし、仕事も騒動の直撃を受けるものではない。そりゃいずれ、回り回った不況は訪れるだろう。が、あまりに実感がない。もちろん、自分自身や周りの人が新型コロナウイルスに感染するリスクもあることはある。しかし、そんな心配はいくら心配しても足りないというわけで。ひとまず酒でも飲みながら他人事を決め込むのが精神衛生を含めて最も間違いない対処法だ……と、思っていたが、ついに私の生活にも新型コロナウイルスによる影響が、その影を写し始めた。

 

 もとより競馬の開催が無観客になり、場外馬券場も閉鎖となるといった影響は受けていた。ただし、これはあくまで「面白がれる」範疇のものだった。毎週のように競馬場・場外馬券場に足を運んでいた人間が、それを禁じられたときにどういう感情を抱くのか。同じような生活を何十年と続けている馬券オヤジ達は再開のときをどう喜ぶのか。はたまた無観客開催は競走そのものにどんな影響を及ぼすのか……
 この度の問題は深刻なのだ。月末締め切りの書き仕事でどうしても調べ物をする必要があるのだが、開いていない。都立図書館が。国会図書館が。どこもかしこも。これは困った。大上段に構えて書かせてもらうことが決まったのにもかかわらず、締め切りに間に合わせられないことが確定しているのだ。編集者の皆さんいまこの事態を一体どうやり過ごしてるわけ?! 人は笑うかもしれない。新型コロナウイルスの影響が甚大ってのはわかりきってるわけで。いまさら、つまり、自分の生活に影響が及ぶ段になって狼狽し始めるのは情けない姿に映ろう。しかし、歴史が示すとおり人間は愚かな生き物だ。仕方ない。私もそのご多分に漏れず、というわけだ。自分ごとになってようやく事の重大さに慌てふためき始めるのだ。とんだ愚かな姿である。

 

 インターネット投票用の口座を持っていないので、馬券を買うことはできないってのに「せめて重賞くらいは……」と、タブロイド紙を広げて予想する。今朝の私の朝食姿もなかなかに愚かだといえよう。今週末のメインレース・阪神大賞典ドレッドノータスに本命の印を落とした。10頭立ての10番人気。これまた愚かな予想といえるかもしれないが、京都新聞杯はタイトなラップのレースを好位から出し抜く競馬の巧さを見せている。条件戦上がりの人気馬もいる。重賞好走歴のない馬も少なくないという面子。土曜日は前が止まらないレースも目立った。前で受けるキセキを牽制することになるだろうその他人気馬のことを考えると、二着までならなんとかなると見た。ディアデラノビアの仔らしい頭の高い走法に似合わぬ長距離を駆けるさま。日曜の夕方。注視したい。