金杯はいつも当たらない(2020中山金杯予想)

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理解できないからこそ知りたい欲求が湧く。

年末年始に手に取った『不確定性原理ー運命への挑戦』も、まさしくそんな興味から読み進め始めた本だった。

要旨は「卑近な例を挙げながら量子論を“やさしく”解説する」というもの。しかし、いかんせん文系一直線のオレにはとっつきにくい内容が多く、全く“やさしく”ない。が、行ったり来たりを繰り返しながら読み進めているなかで、興味深い話題があったので、そんな話から始めたい。

「どんなに複雑なものでも、位置と外力を正確に測ると運動が決定される」という、ニュートン力学の根本的な考え方を飛躍させて生まれた「ラプラスの悪魔」と呼ばれる世界観があるらしい。「ラプラスの悪魔」とは、「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつ、もしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。」という考え方だという。要するに「現在の状態を完全に測定できれば未来も完全に予測が可能。原因によって常に結果は決定づけられている」という主張なわけだ。

たしかに。この世のあらゆる出来事には因果が見出せるように感じる。


小池百合子の発案した熱中症対策の傘はデザインがダサいから浸透しないことは明白だったわけだし、7payはセキュリティがあまりにも杜撰だったから当然のようにサービス終了に追いやられたわけだし、少子化に対しての決定的な対策がなされないから老後に2000万円の貯蓄が必要とされるわけだし、具体性皆無の発言を国内外で繰り返すばかりだから小泉進次郎のメッキは剥がれてきているわけだし、歳入が減るから消費税は10%になる。

多くの物事には明白な原因によって結果が決定づけられていることが多々ある。


同じように、オレにとっての金杯にも当たらない理由がある。

「一年の始まりになる重賞だから」気合いは入るものの、「一年の始まりになる重賞だから」好きな馬を無邪気に買ってしまうことが大きな理由だ。クリッとしたつぶらな瞳、大きめの黄色いシャドーロールがトレードマークのノーブルマーズ。パドックではいつもチャカつきがち、怖がりで愛らしい7歳牡馬に初馬券の命運を託すことに決めた。


ちなみに冒頭で紹介した「ラプラスの悪魔」は、時を経て成立したプランクの量子仮説(から不確定性原理の成立)によって、その決定論的世界観が否定されることとなる。

すべてのものの未来は既に確定しているわけではなく、原因から生じる結果は一つではないとことが量子論的に定義されているというわけだ。つまり、私も今年こそは金杯を当てる所存というわけだ。相変わらずの馬券を楽しむ姿勢で競馬に臨むというわけだ。