虐げられながらも(フローラS予想)

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暖かくなって来ましたね、と書こうと思ってたら急に寒くなってしまい、クソ、出だしからつまづいてしまったじゃないかっ! 責任者出てこい! と、気分はもうモンスタークレイマーといった感じで……という書き出しを真似したい、と考えていたらすっかり寒い日が遠い昔のことのように思えるような気候で、まさしく春爛漫の陽気なわけですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。


私はといえばベランダ園芸に勤しみ、日々開花していく花々を眺め、背を伸ばす草に惚れ惚れし(時には枯れゆく植物を葬りながら)、存分にこの季節を楽しんでおります。そんな毎日を過ごしているからか、最近の持ち歩き本は植物にまつわるものが極端に増えておりまして、最近読んだ本で面白い一冊がありましたので、まずはそんな話から。

 

花と緑が語る ハプスブルク家の意外な歴史 (朝日選書)

花と緑が語る ハプスブルク家の意外な歴史 (朝日選書)

 

ハプスブルク家と植物との関わりをさまざまな逸話とともにタイムラインで紐解いた一冊でして。Amazonレビューにもあるのですが、時代に翻弄されたハプスブルクの皇帝達が、花と緑に癒しを求めていたことがよくわかる。“生まれながら病弱で「扱いやすいから」という理由のみで即位させられる皇帝が溺愛したのは地味な隠花植物であった”ってエピソードなんてたまらなく切ないじゃないですか。

と、まあそういう内容の本でして、西洋史にも植物にも関心がない方にとっては死角中の死角、アウトオブ眼中のそれだと思うのですが、もうちょっと、もうちょっと読み進めてやってください。これから競馬の話に展開していきますから!


ハプスブルク家はその栄華が知られる一方で圧政によって市民を苦しめていたことも有名。そして、その圧政に反発するように作曲を続けていたのがベトルジハ・スメタナという作曲家がおりました。彼が革命運動に傾倒していた頃に熱を入れていた音楽がチェコの民族曲である“ポルカ”でした。圧政に屈しまいと心血を注いで作曲を続けた男が生み出した『モルダウ』は音楽の教科書にも採用されてもいて、私自身聞き馴染みがありますし、モルダウの収録される交響詩チェコ人にとって記念碑的な作品だといいます。そんな傑作も圧政に虐げられた経験を経て作られたというわけです。


さて、今週末の重賞フローラSが施行される東京競馬場の芝2000mというコースはスタート位置がポケットにあり、最初のコーナーを迎えるまでの距離が短いことから外枠が不利なことで知られる欠陥めいたコースな訳ですが、昨年は大外に入ったパイオニアバイオがその不利を跳ね除けて13番人気で2着。

今年私が本命の印を打ったフェアリーポルカも大外枠を引いてしまいました。しかし、ハプスブルク家の圧政に虐げられたスメタナが不屈の精神でポルカの名曲やモルダウを作りあげたように、大外枠という不利を与えられたフェアリーポルカもその逆境を跳ね除けてもらいたい。そんな風なことを考えた次第であります。

 

ちなみにポルカはこんな音楽。いやはやなんとも景気がよろしい。馬券が的中した時のBGMとしてもナイスじゃないですか。