魔の桜花賞ペース(桜花賞予想)

本を忘れて家を出てしまい、電車で何の気もなくモニターに表示される映像を見ていると「探査機はやぶさ2小惑星に衝突成功」という見出しでニュースが紹介されていた。字面だけを読むと到底いい報には思えないが、抱き合うJAXA職員の写真を見るに、それは喜ばしいニュースらしい。一体なにがどう喜ばしい出来事なのかとGoogleにあたってみると、“衝突によってできたクレーターに着陸し、物質を採取できれば、太陽や宇宙線などの影響を受けていない「生」の物質を分析できることが期待される”とのことだった。たったそれだけのことといえば、たったそれだけのことなのだが、調査の内容によっては、これまでの常識が一気に覆されて、人類史に新たな一歩を刻むのだろう。それこそが宇宙開発に心血を注ぐ価値なのだから。筆者は今後も日本の宇宙探査発展に期待したい……って、デキの悪い社説みたいな文章に変化していってしまった!


宇宙探査ほど規模は大きくないものの、例えばティラノサウルスの肌は岩色で爬虫類のようにゴツゴツしておらず、毛に包まれてモフモフだったことが優位な説になっていることや、地球温暖化の原因だと思われていた二酸化炭素が実は全く関係ない物質だということがわかったこと、野球ではバットを振り下ろしてボールを叩くように打つよりも一定の角度で打ち上げた方が安打になる確率が高くなることなど、さまざまなジャンルにおいて、これまでの常識が覆されることは少なくない。


かつて桜花賞の予想にあたって耳にし続けた「魔の桜花賞ペース」も、(阪神競馬場の改修を経て)覆った常識と言えるかもしれない。時は進み続け、常識は覆り、取り巻く環境は変わり続ける。平成から令和、時代の変わり目に桜花賞馬に輝くのはどの馬か。宇宙探査に活用できるほどの高度かつさまざまな計算を重ねたうえ、レースは近年の傾向にならって上がり勝負になると見立て、桜花賞ではシゲルピンクダイヤに本命の印を打つことにした。この予想を覆すことのないよう、すでに前日投票を済ませている。祝杯の準備は万端である。