アラブ人の忠告(TCK女王杯予想)

さまざまなメディアで平成を振り返る特集が組まれている。時が経った今思うと、なんでそんなことが起こったのか、にわかには信じられないような事件・事故も少なくない。例えばノストラダムスの予言した恐怖の大王がそうだ。「1999年7か月、空から恐怖の大王が来るだろう、アンゴルモアの大王を蘇らせ、マルスの前後に首尾よく支配するために。」という予言にさまざまな解釈が加えられ、人類滅亡論へとエスカレートしていった。テレビの特番では「恐怖の大王は隕石か、核兵器か、それとも疫病か」などと、学者まで交えて議論していたというのだ。当時小学生だった私ですら「そんなことあるわけないじゃん〜」と思っていたし、少年誌でもその扱いはネタとして消費されていたように思うが、警察庁の犯罪統計をあたると、1998年の終わり頃から犯罪率が増加している。「もう世界が終わるしどうでもいいや」と信じて破滅的になっていた人もいるのかもしれない。


ことインターネットの世界でも、いつも馬券を的中させていたり、トリプル馬単で億を超える払い戻しを得ていたり、高学歴で知性溢れるはずの人たちまでもが「RTするだけで現金100万円プレゼント」などのトンデモな噂話を盲信していて驚かされることがしばしばある。

ことインターネットに限った話というわけでもない。平成が終わりに差し掛かった今も、日常生活で噂を盲信する人はいるし、噂が一人歩きすることもある。さらにいうと、なにも噂にまつわる由無し事は日本に限った話というわけでもない。

ドイツでは2002年頃から「アラブ人の忠告」と呼ばれる噂・都市伝説が定期的に流行しているそうだ。

ミュンヘンの広場で、アラブ人が財布を落とした。気付いた男性が財布を拾って渡すと、アラブ人は大いに感謝し、謝礼金を申し出た。男性が丁重に断るとアラブ人はこう告げた。「あなたは親切な人だ。では一つだけいいことを教えよう。クリスマスの頃、この広場に絶対に近付かないように」そう言い残して男は立ち去っていった。

という創作話なのだが、無論、誕生の背景には9.11がある。

都市伝説を研究するエッセン大学のヘルムート・フィッシャー教授は、噂の拡大理由に「不安感」を挙げる。誰でも遭遇しうる日常のなかでの行動。そこから一気に謎めいた予言を告げられた驚き。そして、なによりも外国人への漠然とした不安こそが、この創作話が爆発的に広がった所以だろう。


話はうって変わって、昼間開催の大井競馬場で行われる交流重賞TCK女王杯では、エイシンセラードに本命の印を打つ。前走のゆるいペースはさておき、道中〜直線までインが優位な馬場で、内枠から小脚を使ってポジションが取れることは何よりも心強い武器になる。

断然人気に乗る外国人へ漠然とした不安を抱きながらも単勝で勝負。