まずい!このままだと酒が悪者にされそうだ!(マイルCS予想)

f:id:BxKxN:20171119091134j:image


酒は人間とともに古い。
人間があったところには、どこにも酒があった。
古代エジプトの壁画には女性が嘔吐するさまが描かれている。
天の岩戸の前でウズメノミコトが舞っている絵には必ずお神酒の徳利が並んでいる。
ローマ神話にもバッカスという名のワインに関する神様がいる。
酒は人間とともに古い。
猿さえ酒を造るというから、そいつが進化した人間が醸造の術に長けていても不思議でない。
人間は、さまざまな材料で酒を造る。
米、麦、粟、葡萄、林檎、サトウキビ…… 何でもかんでも手当たり次第、酒にして飲んでしまう。
モンゴル人は馬の乳を、メキシコ人にいたっては植物の樹液から酒を造って愛飲した。
人間の歴史を語るうえで酒は切っても切り離せない神に与えられた産物なのだ。


とまあ書いてみたけど、酒は怖い。
そりゃあ怖い。
酒を覚えた頃はそのせいで喧嘩もしたし、路上で寝て追い剥ぎにもあった。二日酔いの日は勉強も手につかなかったし、望まざる相手との一晩が招いたトラブルも経験した。
まあ、そんな自分自身のトラブルなんて誰もが経験している些細なこと。
酒によるトラブルといえば、いま日馬富士をおいて他にいない。ありゃもう大変だね。
食い違う証言の謎がどうも人間関係のしがらみによるもので、そのせいでブラックボックス化、解けることのない知恵の輪のようになっていて、それがいろんな人の邪推を呼ぶような状況。
つまり、ワイドショーには持ってこいの状況。
こりゃ、必要以上に騒がれますわ。
普段はリベラルぶっている文化人が「国技である相撲が……」と語り始めたり、相撲ファンのコメンテーターが「日馬富士は紳士的な人物として知られている」だなんて物知り顔で言っていたけど、そんな問題じゃない。


一家言持ったコンシューマーぶって書き連ねてみると……
酒に酔った男が後輩を怪我させた。この一点が問題(もしも被害者が立件を望んでいるのにそれが協会内でもみ消される事態になろうもんなら協会の問題が発生してくるけど、今のところそうした気配はないから)。
つまり、すべての問題は酒によるものというわけだ。


節度のない飲酒家をたちまち酔漢に変えてしまう。
これは酒の大きな短所だといえる。飲むからには酔わずにはいられないというわけだろうが、そんな飲酒家は心底お気の毒だ。
「立派な人がたちまち狂人みたいにみっともなくなり、元気な男が目の前で重症患者に変わり、後先も忘れてぶっ倒れてしまったりする。翌日になっても二日酔いで頭ががんがん痛み、飯も食えないざまだ……何で酒が百薬の長なのものか、これではあべこべに百病の元ではないか!」
こう書き残したのは兼好法師だったか。
悟りのワインも、一つ間違えれば災いの酒に転じる。
酒が人付き合いの潤滑油になるのはアルコールの作用で注意のコントロールがゆるむからだが、実はそれが問題なのだ。
注意力が低下すると、自分の行動や発言が野放しになり、マナーだとか、他者の意見や感情をかえりみなくなり、いつもなら考えられないようなことを言ったりやったりしてしまう。
いわゆる社会的な脱抑制状態に陥るのだ。酒を飲むと気が大きくなるが、度を超すと尊大になり、自信過剰が鼻につくようになる。
手元の酒に関する本をパラパラとめくりながら書いてみたが、どれもが全て日馬富士の一件に通じてしまう。


とはいえ、酒好きの身として、酒で失敗した人間を弱い者いじめしたいわけではない。
たしかに酒は怖い。
ただし、酒はそれ以上に益をもたらしてくれるものなのだ。
そうでないと断言する人がいるとすれば、なぜ6000年も前から現在に至るまで酒が人間との歴史を積み重ねてこれているのか教えてほしい。
酒は人付き合いにとって有益であるし、適度の飲酒によって自分自身も他人も魅力的に思える、特に男は相手との距離を縮めることができる。これらはすべて科学的な論文で証明もされている。
狭苦しい環境に息を詰まらせる現代人にはとてもありがたいものだろう。
実際工業化が進んで都市部に人口が集中していくにつれ、酒の消費量も増えている。
酒を抜きにして都市生活は成り立つのだろうか?
心に歌を響かせ、唇を笑いで彩る酒がなかったら、いったい人間は生きていけるのだろうか。


責められるべきは酒を飲むことではなく、度を過ごすことだ
ジョン・セルデンが残した名言を(届くことのない)日馬富士に送りつつ、自分自身に自戒として刻み込もうと改めて思わされた一件。


さて、二日酔いの澱んだ頭で重賞を予想する。
2017年のマイルCSで本命に推す馬はヤングマンパワーに決めた。
昨年の同レース凡走は調教後から20キロも減っていてデキは誰の目にも残念で致し方なし。案の定レースも思い通りに運ばれず、ポジションを取れないままゴール板を過ぎてしまった。
今年は臨戦がいい。キャリアのほとんどをマイルに拘って使われた当馬が前走は1800、短縮の臨戦は鮮度が補完されて素直に好感。枠もナイス。ここなら出していけるでしょ。マークが集まるアポジーをガニオンが牽制しつつ漁夫の利でどうぞ!


ヤングマンパワー…若い男の力……二日酔いでも頑張れる力ってことだろうか。無理やり酒に引きつけようとしても上手くはオチない……南無