育ちの差(中京記念予想)

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思わぬところに育ちは表れる。

まさか成人式のスーツの着こなしにこんなにも差が出るとは思ってもいなかった。
いや、ただ単に俺の背が低いから似合ってないんじゃないか、とも察した。だが違うのだ。
俺より身長が10cm低い奴でもビシッとキマってる奴はキマってるし、逆に180cmオーバー・スタイル抜群な奴らの中にもキマってない奴は少なからずいた。
自分の着ていたのが洋服の青山で用意したようなおじさんスーツだったってわけでもない。なんなら粋がってわざわざセミオーダーの仕立て屋に行き、その頃流行っていたDiorみたいな感じでタイト目に仕立ててもらったし、サイジングがおかしいわけではない。なのにこの始末よ。
とにかく周りのキメてる連中と比べた時の俺の格好はなんとも七五三としか言いようがないのだ。
二十歳そこいらの男でスーツを着慣れている人間なんてごく少数だし、何がイケてる奴とイケてない奴を分けてたんだろう。そしてなんで俺は完全にイケてない側だったんだろう。
そんな悩み、というか、モヤモヤした気持ちを抱き続けてたんですよ、うん。

 

その悩みの答えがようやくわかったって話。
最近読んだ本の中で一部女性誌の鉄板ネタとして「代々家族から譲り受けた大切なもの」なるものがあることを知ったのだ。先祖からの財を継承するものとして、そこに挙がるのはジュエリー、ブランド品、着物などなど……。それの男性版がスーツだという。
若いうちに上物を捕まえるには「スーツの着こなしがいい男を選べ」という言葉まで紹介されていた。
理由としては「(ハイクラスな)私たちはお母さん・お婆ちゃんから素敵なものを受け継いだけど、男性の場合なかなか引き継ぐものがない。日常着のスーツだって体型が違うから難しい。そこで彼らはお父さんからスーツの着こなし方を受け継いでいる」のだそう。
な…なるほど……
ちょっと唸らされた。たしかに考えてみたら成人式でイケてた連中は良家の子が多かった気がしなくもない。何よりの証左が俺の家が疑いようもない「下の上」家庭だったからだ。

 

わかる。わかるが、自分の育ちが悪いと言われてるような、なんともイケズな文章を目にしてしまったな、うん。
劣等感からそう思うだけだと思われてもそういうわけではないのだが、そう受け止められても仕方あるまい(指示代名詞の多い悪文…)。
とはいえハイクラスへの憧れなんて本当に皆無で、後楽園の端っこで関係性もあやふやなツレとパック酒を飲みながらマークシートをひたむきに塗るおじさんの方が憧れの対象だ。

かといって素敵なものへの欲求がないわけでもない。しかし毎月記帳する通帳を眺めては己の収入の低さに肩を落としてばかりの毎日で現実はよくわかっている。
そんな俺に残された選択肢は安いものをたくさん買うか、素敵なもの(多くの場合値がはる)を少量買うかのいずれかで、そうした生活を続けていくしかないのだろう。
何度も書くようだが、決してそうした生活が嫌だというわけではない。むしろ楽しい。
いや、でも、うーん、ハイクラスに生まれて、家とか買ってもらえたら嬉しいなあ…いやあ、でも、そんなに憧れてる、わけではないけど……あ…選択肢はもうひとつあった。
素敵なものを買うために大きな馬券を的中させるってことだ。

 

というわけで、今週末開催される重賞、中京記念で本命の印を落とす馬はマイネルアウラートに決めた。
中京記念は基本的に4角10番手程度につけて34秒台の上がりを繰り出す馬が馬券になるレース。今年もなんともそんな展開を狙いそうなメンバーが揃っている。が、ここにきての雨。
休み明けでストレス疲労から解放されたアウラートが35-35でラップをまとめて馬券内に流れ込む。
去年の中京記念の不利が適度なブラインドになってくれそうなのも好材料。いわゆる「中京記念走りまっせー」タイプではないし、夏負けする馬に見える馬柱。買い。

 

思えばマイネルの馬も決して「ハイクラス」とは言えない。
そんな中流家庭代表のマイネル中流家庭の俺に馬券をプレゼント。
そういうわけでよろしく頼む。
少々雑ですがそんな感じで。