言い訳(京成杯AH予想)

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自分の使っているテキストエディターは画面の左側に最近開いたファイルが表示される形式のもので、ここのところそこには[示談書_草案.txt]だとか、[示談書_草案+.txt]だとか、[示談書_確認用.txt]だとか、[公正証書化_確.txt]だとか、禍々しいファイル名がずらりと並んでいる。
空き巣被害に遭った際の犯人から示談の申し出があったからである。行政書士という一体何をやっているのかわからないが、なんだか賢そうな仕事に就いている友達に文章の中身が問題ないのかを都度確認してもらっているうちにそんなことになってしまった。
禍々しいファイル名が目に入るから、かどうかはわからないものの、テキストエディタを立ち上げても気持ちよく文章を書く気になかなかなれないし、うまくオチをつけられる気もしない。
その証拠にここまでの一連の話にもオチはない。
一応毎週更新を続けているブログの更新を怠った先週の言い訳がしたかったぐらいだ。


その言い訳のために404文字、原稿用紙1枚分を超す文字量を費やしてしまった。
とはいえ、言い訳なんてつらつらつらつらと長く無意味なことを連ねるのが常なわけで、そういう意味では正しい言い訳になっているともいえよう。


「あちゃー!和田じゃなくて大知が乗ってるから和田に捨てられた馬だと思って切っちゃったけど、これマイネルじゃねえか!なーんで俺はメリオラなんて買ってるんだよ!あちゃー!わざわざ3鞍だけ乗るために意味もなく大知が関西に乗りにくるわけねえじゃねえか!あちゃー失敗した!ここ狙いすましてだったんだよちくしょー!いやー!ちょこ…っと考えれば見抜けたのに!なー!ちくしょー!もう1レースあるからそれまでチャレンジさせてくれ!」
昨日の中山競馬場でもこんなおじさんを見かけた。煙草を吸い続けている間、奥様と思しき女性に5分間、語尾やニュアンスを変えながら、語りかけ続けていた。
たしかにその政治的な見立てはわかる。「俺も馬券外したときにそう思ったよ。なんなら本命馬も一緒だし、うん、わかる、わかるよ。最終レース頑張ろうな」と心の中で相槌を打った。


「ったく!なんだよ!八百長だったなこれ!な!丹内なんか買うんじゃなかったよ!丹内じゃ足んないんだよなー!丹内じゃ足んない!がはは!」
昨日の中山競馬場ではこんなおじさんも見かけた。最終レースを外して船橋法典駅へと向かう地下道で連れのおじいさんの肩を叩きたながら陽気に渾身のギャグを繰り返していた。
その言い訳は無茶がある。「まあ久々の競馬場、楽しけりゃよしなところもあるんだろうな」そう心の中で相槌を打った。


どちらも早口で、ものすごい文字量を瞬時のうちに口から飛ばし続けていた。口角泡を飛ばすとはまさしくこのこと。
つらつらつらつらと無意味なことを並べる正しい言い訳の姿がそこにはあった。馬券は負けてしまったものの楽しい気分をいただいた。
競馬場に居ると、場外馬券場で馬券を買っている時に比べて言い訳が多く聞こえてくるような気がしないだろうか。
環境音の大きさに負けないように声を張るからなのか、理由こそわからないものの、経験上間違いない。
そして、そんな言い訳に遭遇するのも自分にとっての競馬の楽しみになっていることも間違いない。

理路整然とした言い訳も支離滅裂な言い訳も、そのどちらもが不的中によって吐き出されるもので、負けたときに「負けた」の一言で済ませることができない、感情を揺さぶる何かが競馬にあることを再確認させてくれるのがその理由だろうか。
どんなに馬券が上手い人でも競馬は短期間の負けから逃れることはできないから、負けの気持ちを少しでも和らげることに慣れていて、そこで魅せる美しい受け身のような言葉遊びの芸術点を楽しんでいるからだろうか。
理由こそはっきりとはしないものの、言い訳を聞けるのは現地競馬のひとつの楽しみだ。
いやー言い訳っていいもんですね。
ってことで先週の更新を飛ばしたのも良いじゃないですか!
ここまで言い訳してるんですから!


さて、今週開催される京成杯オータムハンデはボンセルヴィーソから入る。
間隔あけて蓄積疲労から開放、古馬混合重賞初で鮮度もあって実績もある。枠も(逃げるor番手で進めてくれるなら)いい枠を拾った。昨日の馬場を考えても内目をロスなく進めるのがベストなのは明白で、予想されうる展開から馬場も向く。中山は1回走って3着と微妙な戦績ですが、2馬身出遅れてのものですし、本質的に中山は良いはずで。1400ベストなイメージでいますが、いまの中山の馬場はアスター賞でソイルトゥザソウルが2着できる馬場なんで、その分足りてくれるでしょう……
なんともどこから入っていいのか悩ましいメンバーの中でこの程度の人気ならここから穴目にワイドで流す方向で。

 

当たるかどうかはさておき、外した時の言い訳する準備はばっちりできてますんで。
現地競馬の楽しみをインターネットから微量ながら、僭越ながらお届けさせていただきますんで(明日も更新するつもりです