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挫折から救われる(シンザン記念)

馬券

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挫折を一度も味わったことのない人間なんて、そりゃまあ少ない。
そんなことは、オリコンランキングを“頑張れ!負けるな!諦めるな!”ソングがいかに大きな割合で占めているか想像してみると想像がつく。
志望校に落ちて浪人生活が決まった時にKANの『負けないで』を聴き、付き合っていた女の子にフラれた時にシャ乱Qの『シングルベッド』を聴く。よくある話なんでしょう。だからよく売れてるんでしょう。それだけ多くの挫折が人の一生にはあるのでしょう。
音楽はひとつの例え話だけど、なにかの挫折を味わった時、人はどうにか身の回りにある物事を糧にして、なんとか自分を取り戻しながら、なんとか生きぬくんだと思う。
それこそ音楽だったり、映画だったり、アイドルだったり、友達がかけてくれた言葉だったり……
救われる。
というと大げさかもしれないけど、まあそんな話から本筋につなげていこうと思います。


では、まず俺が挫折から救われた時の話を……って、問わず語りもそこまでいくと病的だし誰も面白くない。
かの競馬予想家、故・大川慶次郎が挫折から救われた時の話をしたい。
1日に開催されるレース(一場)全ての馬単を的中、いわゆるパーフェクトを達成したことが週刊誌に取り上げられ、以降広く名を知られるようになり、その後は競馬の神様として後世にも語り継がれる(なんなら死してなお胡散臭い広告に名前が使われる)大川慶次郎にも挫折はあった。
パーフェクト直後、さまざまな雑誌で紹介されると、そのうち「大川の予想で票が大きく動く」という言葉まで聞こえてくるようになっていた。
そのタイミングこそ、彼がスランプ・挫折を味わっていた時だという。
氏が言うにはこうだ。
「自分がどう思おうと、周囲は“競馬予想の第一人者”という目で常に私を扱います。だから下手な予想はできません。それだけに事前の検討を重ねるのですが、重ねれば重ねるほど、自由闊達な面白い予想から遠ざかってしまうのです。競馬の神様なんていう異名なんか内心では重荷そのものと思うようになり、1日でも早くこんな状態から抜け出したい。そればかり考えているようになっていました。」
周囲からの注目がいつの間にか大きなプレッシャーとなり、攻めて的中させる気概を無くし、極端な守りの姿勢に入ってしまう。
誰もが外している中でも、自分だけは的中させてみせる。そんな迫力が全く無い。
そんな状態が3年ほど続いてしまったという。


では、どのようにしてその挫折を乗り切ったのだろうか。
音楽か、映画か、アイドルか、誰かにかけられた言葉か。
そのどれでもなく、大川慶次郎を挫折から立ち直らせた最も大きな要因は、ある馬の存在だった。
「今、予想家として飯が食えているのも、この馬にいろいろ教えてもらったからなのです」
今週末開催されるシンザン記念のレース名の由来になったシンザンに競馬を改めて教えてもらったという。
シンザンのレースぶりを見て、調教の見方を改め、着差に対しての認識を改めた。
著書の中では、その程度しか触れていないものの、19戦15勝2着4回、そんなシンザンに一度も◎を打たなかった。シンザンに立ち向かうことで、挑戦して馬券を狙う気概を取り戻したのだろう。
それからというもの、パーフェクト予想を更に3回達成。自身を評論家ではなく予想家だと自負し続け、逝去される直前まで予想を続けた。
最後の予想となった2000年の有馬記念グラスワンダー単勝を的中させた。
もっとも、グラスワンダーが先頭でゴールを迎えた時、氏は既に亡き人となっていたわけですが。


大川慶次郎に競馬を教えた馬・シンザン
そんな偉大な馬の名前を冠したシンザン記念が今週末に開催される。
そこで俺が本命視して買うのはタイセイスターリー。
名牝スターアイルの仔であり、父は新馬戦から走ることでおなじみのマンハッタンカフェ
その血統面が評価され、新馬戦では1番人気1着。前受けしつつも最速の上がりを繰り出して、いかにも京都向きなレース質だったことから、次走のデイリー杯2歳Sでも1番人気に支持されたものの結果は凡走(1番人気8着)。
この惨敗の理由はMの法則が予想に含まれている人にとってはシンプルすぎるほどシンプルで、格上げ挑戦+最内枠というL系(マンハッタンカフェ産駒の多くが該当)の投げ出す条件で凡走した。理由はそれだけ。
今回は枠も外を引けて、実質的にはダウン臨戦。こここそL系のタイセイスターリーの買いどころ。強い馬を意識しつつも本命はタイセイスターリーでシンザン記念に挑む。


冒頭から書き続けた大川慶次郎は、かつてシンザンが現役だった頃「もしシンザンが何かに負けた時、その負かした馬には必ず◎を打っていたい」と考えていたという。
そんな博打打ちとしての矜持を見習って、池江厩舎の有力馬2頭に屈せず、タイセイスターリー、ひいては自分の予想を信じたい。そんなレース。