忍耐強いのかタフなのか(エリザベス女王杯)

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ワイドショーを眺めていると、連日連夜アメリカ大統領選の話題で事欠きませんが、いかがお過ごしでしょうか。
ヒラリーになった方が良かっただの、トランプでいいんだだの、いろんな思惑をお持ちの有識者のコメントが、テレビでは矢継ぎ早に飛び交っていて、それはそれは賑やかでいいものだと思うのですが、一部の方が待望していた初の女性大統領、というわけにはいきませんでしたね。

 

今週は歴戦の牝馬が集うエリザベス女王杯について書こうと思っていただけに、ヒラリーが勝ってくれたほうがうまい導入ができたのにな、なんなら構成みたいなものを考えていただけに、ヒラリーが負けてしまうと、なかなか書き出しが決まらないな……なんてくだらないことを考えてる俺です。んー、そうだ、何年か前の『天声人語』に書いてあった話から始めてみる。

 

ミャンマーの実質的指導者アウンサンスーチー氏が数年前に来日し、京都大学で講演した際、学生から「なぜ、あなたはそんなにも忍耐力があるのか」と問われたそうです。そんな質問に対してアウンサンスーチーは「私は女性だから忍耐と言われるが、男性だったらタフだと言われるだろう。私はタフでもある」と語ったという。

 

ヒラリーも下手は打っちゃったけど、タフな女性だったように思う。体調もよくなかっただろうに、無理して選挙活動を敢行して。いやはやお疲れ様です。選挙戦こそ負けてしまったものの、2位ですからねえ。立派立派。忍耐強かったわけではなく、本当にタフな女性だった。
そして、俺がエリザベス女王杯で本命視するデンコウアンジュ、この馬も忍耐強いわけではなく、えらくタフな馬に違いない。

 

2016年に新馬としてデビューを予定していた馬が、およそ7,000頭。その中で3頭しかなし得ていない記録がある。何かというと、牝馬クラシック、その全てに出走することだ。
ウインファビラスレッドアヴァンセ、そしてデンコウアンジュ。3歳牝馬のクラシックを完走したのはこの3頭だけ。名前だけを見ると一線級でワンパンチ足りないメンバーのように思われるかもしれないが、無事是名馬という菊池寛による諺もあるように、怪我なく無事に走り続ける馬は素晴らしい。タフな馬は素晴らしい。
かの名手岡部幸雄も「3冠全てのレースに出走すること自体がすごいことなんです」とおっしゃっていた。間違いのない事実だ。

 

そして、デンコウアンジュのタフな点は競走それ自体にも表れている。この馬について語られる時「メジャーエンブレムを負かした」という言葉が冠のように乗っかることがよくあるように思うが、俺にとってこの馬の魅力はそこではなくて、非根幹距離での量を活かした競馬にこそある。
新馬戦こそ負けはしたものの、それを除くと5番人気1着、8番人気4着と常に着順を上げてくる走りを見せてきた。そここそがこの馬の真価。つまり、この馬をLC系と取るわけですが、そうなると今回の外目の枠も魅力になる。
ここに来て、煮え切らない近走の着順に穴党も業を煮やしたか、二桁人気まで人気が落ちているというのも馬券的には好材料。内枠に強い馬がいることは重々承知ではあるものの、ここらで3着内に食い込んでくれないか。


男勝りなタフさを持つデンコウアンジュの走りがここで実を結ぶこと、そして女々しく願望も忍耐強く馬券を買ってきた俺がそろそろ報われる時。ですよね、アウンサンスーチーさん?