入院がわたしにくれたもの(毎日王冠)

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    前にも書いたけど、訳あって1カ月ほど入院することが決まって、いまがちょうど18日目。はじめの頃は「会社には申し訳ないけど、仕事も休めるし、いやー、よかった……」と甘い考えを持ってました。ところがどっこい、入院生活にも辛さはあった!なんといっても退屈!

    入院中の暇つぶし方法をブログ記事としてまとめて、最終的にhuluだとか、Netfrixだとかの会員登録につなげるアフィサイトが多いのにも納得ですよ。俺も調べちゃったもん。契約しそうになったもん。だけど、残念ながら病院にはWi-Fiなんて飛んでない。あの忌々しい通信速度制限のことを考えると、iPhoneiPadのモバイル通信で映像を見るのは現実的でない。そうなると次に考えつくのが本、なわけですが、これもまた難しいところがあって。たった1ヶ月ほどで退院予定の俺は「退院の時の荷物を増やしたくない」という気持ちが強いわけです。そりゃ当たり前。服やらコーヒー、マグカップ、風呂道具一式……入院生活を過ごすためだけでも結構な荷物を持ち込んでしまっているので、嵩張るものを持ちたくないんですよ。
    荷物は増やしたくないけど、暇は潰したい、活字を欲している自分は週刊誌を端から端まで読みこむことにしました。院内の売店にも売ってるし、週刊誌なら退院のタイミングで縛って捨てれば良くて、荷物にもならない。こりゃ、好都合だというわけで。これまで週刊誌なんてコンビニでも一切手に取らなかったですけどね。すると週刊誌、これが意外に面白い。
    いや、なんかこういうことってありますよね。これまで全く価値を見出してこなかったものが急にすごい魅力を孕んだものに見えてくること、ある瞬間を境に見え方がガラッと変わるというか。今回の場合、週刊誌がそうだったんです。
    いまは新潮と文春を読んでいて、葉室麟が歴史上の人物について触れる『古都再見』では、一休さんについて書かれた「何よりもおのれに嘘は吐かなかった。壮年以後は公然と酒を飲みら、女犯 すら行った。」という文章から、新たな領域への興味が刺激されますし、五木寛之の連載『生き抜くヒント!』で氏が過去を振り返って「1にケンコー、2にゲンコー。健康は命より大事、などと冗談を言いながら、誰もが原稿を優先していたのはどういうことだろう。」と書いた文章には、膝を叩きながら同業者としてにやける。これまで絶対に読むことのなかった『受けてはいけない検診・検査』みたいな健康記事も「なるほど。年をとったらこういう記事を読んで右往左往するだろうな俺。」といった新たな気づきがある(読んでいる場所が病院だからリアリティがあるのかもしれない)。ま、とかく週刊誌というものが急に魅力的になったわけです。退院してからも読むだろうなあ、と思っているくらい。

    そんなとこで競馬の話に。土曜日の重賞サウジアラビアRCは本命馬バリンジャーがゲート入りを嫌いに嫌って、案の定出遅れ。最後にいい脚を見せたものの5着が精いっぱいという結果に終わった。まともにゲートを出れば、もっと高いレベルでやれることは間違いなさそう、あと、マイルでも距離短いかもしれませんね、という感想。ゲート入りの時の気の荒さからは、同じくステイゴールド産駒のゴールドシップが思い起こさせられ、呆れを通り越して愛おしさすら感じた。ファンの多い馬になりそうですね。
    そして、明日の毎日王冠の◎はディサイファに決めた。これまで【勝ちきることは少ないけど、着順はまとめてくる(不甲斐ないまけかたをしない)馬で、まとまっていることこそが評価されている】【G2には足りず、G3では余る】と思って、馬券では嫌ってきたし、印を回さなかったことで、やられた!みたいな事態もほとんどなかった。特別理由はないんだけど、妙味をら考えて常に嫌ってきた馬。だからこそ、このまま一生買わなくてもなんら不思議でなかった。だけど、今回の毎日王冠は、周りのメンバーと比べて格の違いがある。感覚的なことで申し訳ないんですけど、勝ち負けの可能性を感じた(ロゴタイプはうん、まあ、なんというか格というか……)。そこで近走を見て、具体的に検討していくと、前走・前々走はトラックバイアスも、展開も、不利を受けていながら、ゴールドアクターに0.5秒差、ロゴタイプに0.3秒差。今回の調教内容からも衰えはなさそう。正直週中まではマイネルミラノに◎を打とうと考えていたんですが、土曜のレースは、どうやら差し決着が目立つ。そこでディサイファ前走安田記念でのハイラップで苦しい展開から、今回ダウン+延長で緩い流れになって、中団を楽に追走できれば、最後の差し勝負に加われるのでは?という思いが頭に浮かんだわけです。そういった意味で脚質の自在性も好材料。東京1800のコース実績も[3・1・1・2]と嫌う必要は全くなし。これまであまり魅力を感じてこなかった馬が、急にすごい魅力的に見えてきたってわけです。この馬もついに7歳で、走り自体に衰えは感じさせないものの、可能性のある“大舞台”は今走が最後になるだろうなと思う。多分そう。もしかすると、その、ほとんど揺るぐことのない事実があるからこそ、本命に据えてしまってるのかもしれない。けど、そういう馬券を買ったっていいっすよね、うん、もう認める、普通に強いし(最後の最後に放り投げ