大金星(神戸新聞杯)

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*訳あってこんな病院に入院中です(著作権ごめんなさい)。


  9/3の札幌開催で3,999勝目をあげてからというもの、32戦の間勝ち鞍に恵まれず、足踏みを続けていた武豊が9/18にようやくJRA所属馬騎乗(地方・海外含む)による通算4,000勝を達成した。

「大変長らくお待たせしました。」
開口一番発せられたこの言葉には、記録達成直前の難しさが滲み出ていた。
  競技は違えど、同じように、快挙達成の一歩手前で足踏みをしている男がいる。棋士木村一基八段である。彼が指をかけているその記録とは、初タイトル獲得の最年長記録というもの。先に4勝した方がタイトルを獲得できる王位戦七番勝負、臨む相手はあの羽生善治だ。2戦2敗で迎えただい5局。辛くも木村八段は勝利を収めた。解説の渡辺明は「どちらにも勝ちがあっただけにこの1勝は大きい」とのことで、多くが下剋上を期待した次戦。ここは羽生が制した。棋譜解説を聞いても羽生の快勝。決着が待たれる最終局は26,27日にかけて行われる予定だという。

  さて、その前日には菊の権利取り、また菊にむけての調整に有力3歳馬が阪神に集う。リオンディーズの故障もあり、“ベスト”メンバーとは呼びづらいものの、当歳時からその良血っぷりが注目され続け、レースでもその期待に応え続けてきたサトノダイヤモンド。「例年なら確実にクラシックを勝ちきれる能力の持ち主」と評されながらも今のところ辛酸を舐めさせられているエアスピネル。他にも、夏の上がり馬としての期待を一身に背負った前走、頼りない鞍上(ジョッキー界の環ROY a.k.a 菱田)だったこともあり、6着に惨敗。その際の雪辱を果たそうとカフジプリンス。皐月賞敗戦後、十分な休養で馬体の成長を促し、前走の条件戦では古馬相手に2馬身半の差をつけ、目に見える形で最強3歳世代としての格を証明したナムラシングン……などなと、飛車もいれば、金、銀、香車、桂馬まで。“2016年3歳クラシック戦線”という歴史的な棋士が盤に駒を並べ、整えたかのような美しいメンバー構成。その中で自分が最も重い印を打つのはアグネスフォルテ。ダービーでは、京都新聞杯のストレスが抜けきっておらず、あえなく惨敗。そんな状態でありながらも、あのマカヒキに1.4秒差と最低限のポテンシャルは証明した。また、このレースでも人気を集めそうなレッドエルディスト相手にも大寒桜賞でコンマ1秒差。言わずもがなスマートオーディンともコンマ1秒差だったのがアグネスフォルテだ。ストライドの大きいハービンジャー産駒なので、やや外めの11番を引いたのも好材料。馬体も戻してくるとコメントがあった。血統もいい。こういった同世代の強いメンバーが集うレースでなかなか結果を残せていない(L系だから……)父ハービンジャーだが、当馬は母父のフレンチデピュティからSを補給している。このS質を存分に活かして、大寒桜賞、京都新聞杯の時のように、番手につけ、レースを展開。終いを上がり5位以内くらいにらまとめてくれれば、うん。鞍上の松山は去年のリアファルのレースっぷりを500回くらい見てもらいましょう。単複で。

  将棋でいうと“歩”のように、この豪華なメンバーの中では地味な馬かもしれない。しかし、自分の競馬(先行押し切り・ちょい差し)さえできれば、他馬と肩を並べて、価値を争える馬であることはたしか。にも関わらず、現在のオッズは単勝71.3倍……これを買わない手はない。歩だって、攻め上がれば金になるぞ。
  木村八段の快挙達成の前に、まずはアグネスフォルテの大金星に大いに期待しております。